連続シリーズの如く続く「IT業界を斬る」シリーズですが、今回は少し視点の位置を下げて話をしたいと思います。
視点を下げる、というのは上流下流やビジネス屋と技術屋ということではなく、単純に”能力”という観点です。
先月末から始まった一連の議論の流れについて、既に気付いている方もいらっしゃると思いますが、実は議論の中心に扱われているのは、IT業界でも一部の層を取り上げているだけでした。
ITエンジニアの今後の行く末について、イノベーションやエキサイティングな革命とは無縁な生活を送ることがいかに不本意なものであるかを語るとき、そこに共感を覚える人はどれだけいたか?
はてなブックマークやアクセスランキング、周辺のブログや掲示板での活発なやりとりを見ると、いかにもエンジニアを多くがそれについて危惧を抱き、どうやってイノベーションを起こそうか、エキサイティングなワークライフを送ろうかと考えているように思えたでしょうが、ハッキリ言えば、それは幻想です。
変化を望んでいるエンジニアはそれほど多くない、そう私は考えるようになっています。
先週末、複数の方と直接意見を交わす機会を得ましたが、その中でエンジニアの方々から次の意見を伺いました。
「変化が必要であることは理解できるし、きっとそうあるべきなのだろうけど、私は与えられた仕事の中で行動することを望む。」
「確かにエンジニアの上位5%程度は上昇志向を持っているように思えるが、残りの95%は変化など望まない。」
私にはこれが絶対多数の意見なのかを断定できることはできません。
しかし、私が知る複数のソフトハウスや中堅SIerを見る限り、割合に差はあれど、同じように絶対的な多数派は変化を望まない・・・いや、変化することさえ思いつかない人々なのも確かそうです。
ある人はこう言いました。
「そもそも欧米と比較して日本のIT業界は低レベルの人材がかなり集まっていることを忘れちゃダメだ。」
欧米のIT業界と比較している方々はこの点を考慮しているのでしょうか。そして、日本のトップクラスのエンジニアというのは、欧米のそれと比較して、同レベルの人材がどれほどいるのでしょうか。
以前、ニッポンIT業界絶望論の中で、
「最も技術的にエッジっぽいベンチャーを全部かき集めても、日本でトップクラスの技術者すら吸収しきれるキャパはない。」
という意見が述べられていましたが、実はキャパはある気がしています。エッジを目指したい人は目指せばいい、そして残されたIT業界の人々は、きっと『黒船』が到来しない限り、きっと何も変わらないのでしょう。
これまでの楽観調とは一転して、今回は少し悲観的になっていますが、現実とはこんなものなのかもしれません。
でも、そういう現実を受け入れた上で、IT業界の改善を考えていきたいと思っています。
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
私はメーカーSEでした。
IT業界に携わろうという人へのメッセージ
吉澤準特 on 2007/11/28
mmizutaniさん、コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、人の良い技術者がマネジメント層に譲歩するという構図が問題を助長しているようです。営業や経営に関わる人は全体的にアグレッシブな方が多い一方、エンジニアには与えられた環境をそのまま受け入れてしまう方が多い気がします。これは、職種そのもののイメージに対して、それを望む人が集まっているということなのでしょうね。
今の状況では、製造業の頑固職人のような、強い父性を持った現場リーダーが増えていかなければ、現場環境の改善は難しいのかもしれません。
※営業職でアグレッシブではない方の多くは、早い段階で淘汰されているから、結果としてアグレッシブな方が多いということなのだと理解しています
吉澤準特 on 2007/11/28
きむこうさん、コメントありがとうございます。
「中小企業の方もアハ体験したいと考えている方はいる」ということについては、私もそうなのだろうと思います。
しかし、上昇志向という点で言えば、私がこれまでのヒアリングや議論で理解したのは、「別に本業(IT)で上を目指したいというわけではない」ということでした。
仕事にやりがいを感じたい、達成感を感じたいと思っていますが、それは現状の範囲でという限定条件での話であり、今の枠を越えて達成したいという次元の話ではないのです。
顧客自体に対する認識は私も同意です。日本の顧客の少なくない割合はベンダーの使い方が未熟です。生かさず殺さずの姿勢では、いずれ共倒れになってしまいますよ。
コンサルやベンダーのうまい使い方を業界はもっと啓蒙する必要がありますね。
吉澤準特 on 2007/11/28
吉澤様
いつも読ませていただく度に
いろいろと考えさせて頂く機会を与えていただいてありがとうございます。
前回の書き込みの時に
他の方に「技術者もどき」と言われてしまいましたが
凄い学歴があって、どっかの大学の教授や官公庁、大企業とかで
ソフト工学、情報工学を研究しているようないわゆる(大)先生と呼ばれる
方々である訳ではないのでそういわれても仕方ない
のかもしれません。
(ただそういう方たちは、全体のほんの1-2割程度だと思っています)
2)、3)「大手SIer、コンサルファームで経験をつめばよい」
というお話は、どちらかというと
★「これからIT業界に入る大学生向け」
のメッセージですよね。<最初からそういう大手の大企業に入らないと大変困難
普通の大半を占める「技術者もどき」というレベルの方々は
(自分もせいぜいそのレベルの人材だと自己認識しています)
1)「小規模でエッジな存在のベンダーを目指してください」
という方向をめざして、やりがいを見つけていくしかないのだと思います。
<開発をずっと続けて生きたいという傾向の方もこちらになるかも
4)に関して言えば、日立等の大企業の業務請負等で開発に参加できれば
一端は学べる機会はあるかもしれません
<自分も体系だった検証方法の一部を学ばせていただいた記憶があります。
きむこう on 2007/11/20
「上昇志向を持っている人」は「目の前の作業に追われていてその余裕がない」のではなく、優秀な人は、いつまでも目の前の仕事に追われるような人生の選択はしないと思いますよ。
ITを知らない営業・経営に、人の良い技術者(もどき?)がいつまでもふりまわされていて、研究・開発・企画力が生育せずに、いつまでも請負仕事をしているのがほとんどではないですか?
これでは困るので、やる気のある技術者が独立しても、しばらくするといつのまにか、部下に下請け仕事をやらせているなんてことも往々にしてあるというか、結局は企画・資金調達のノウハウがないので、サービスを立ち上げれなくてこういうことになる。
本当に「人が良い」のだから仕方がない。
mmizutani on 2007/11/19
殆どの作業者の方々は
「上昇志向を持っている人が日本では少ない」
のではなく
「目の前の作業に追われていてその余裕がない」
のだと感じています。
中小企業にいる人だって
1)体に無茶がかからない状態で
2)仕事にやりがい・達成感を感じたい
(新しい知識・経験を習得する事で「アハ体験」したい)
と思っていると思うのです。
日本の場合は
作成コストに対して顧客満足度の基準がすごく高くなったせいか
(顧客の目が肥えた? のか 発注費のカットのせいなのか)
1)の条件を満たす事が大変難しく
目の前の作業に追われてしまう状態で
2)を感じている余裕がない
というところではないでしょうか?
もちろん成果主義による「完全固定給」等もかなり影響している
気がしないわけではありません
日本の曖昧のままを受注を進める形式
=>ある程度動いているのを見てお客さんが
「あーでもない」「こーでもない」
というのを対応する
<初期状態で予定していなかった機能等の実装がぼろぼろ増えたり
聞いてた仕様と大幅に違っているので大改造が必要だったり
以前は
★上記の追加作業が発生すると思われる作業に対して
コストマージンを上乗せして請求できていました
が
今はマージンを削られた状態で
「最初の金額のままやれ」
と押し切られている現状で受ける側の企業のほうも
苦しい台所事情があるのも確かです。
発注規模に対する金額基準等の指標が 国等である程度設定されない限り
この現状は改善されない問題だと思うこのごろです。
きむこう on 2007/11/19
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きむこうさん、いつもコメントありがとうございます。
大多数の技術者もどきの方が目指す進路がエッジな存在を目指すしかないというご意見、おそらくそうなのだろうと私も思います。そして、いつしか限界を感じて、気がつくとマネジメント業務もやらざるをえない状況になっているという流れでしょうか。
もし、生涯一エンジニアを目指すなら、能力的に平均値の方は大企業の情報システム部などに活路を見出すしかないかなとも思っています。フリーランサーという道もありますが、齢を重ねるにつれて、平均的な能力では苦しくなってくるのは明らかなので・・・
他の方がエンジニアの生涯キャリアプランについて色々と触れていますので、そちらに絡めて私もちょっとエントリーを書いてみようかなと思います。