2008年のITを語る上で外すことが出来ないのが「グリーンIT」です。
→ http://it-ura.seesaa.net/article/76398247.html
近年のIT業界は消費電力量が増加の一途を辿っており、経済産業省によると、2025年には2006年の5倍の電力消費が予想されています。
電力消費が増すということは、電力料金が跳ね上がるというだけでなく、温室効果を強める二酸化炭素を大量に生み出すことが地球環境を悪化させる要因になるという点も注目を集めているのです。
グリーンITは、欧米諸国、特に北米での盛り上がりが激しく、
【グリーンIT=カッコイイ】
という図式が一般に成立するほどに広く受け入れられている状況で、たとえば昨年末に開催されたオラクルのカンファレンスでは、グリーンITに関するプレゼンでもしきりに「エコってカッコイイんだぜ」ということが語られています。
フォレスターリサーチ社が2007年5月に行ったTapping Buyers' Growing Interest in Green ITという調査によれば、北米等に本社を置く企業のITマネジャーなど124人のうち、85%が「IT運営業務計画を立案するにあたって、エコロジーを重要と考えている」と回答しています。
ただし、実際にIT関連の購買を行う際、その製品が環境に対して優しいかという基準を設けて調達している人数は、その1/4でした。理由は明白で、各企業は具体的に目に見える形での自社利益を追求するからに他なりません。
近年活発になっているCSR(社会的責任)はどう説明する?そんな問い掛けがあるかと思いますが、これは社会的な評判などの企業ブランド価値を高めるという効果を比較的分かり易く果たしています。
例えば、「砂漠で植林活動を行っている」、という話を聞けば、誰しも環境に配慮した優れた企業なのだと賞賛するでしょう。
これをグリーンITに置き換えるとどうなるでしょう。
データセンターの集約を推し進めて消費電力を30%削減しました、と言われても、一般人には「へぇ」で終わってしまうでしょう。昨年のIBMのように街一つ分の電力消費を節約することができたというなら大きな宣伝効果もありますが、通常の企業にそこまでの効果を求めるのは無茶な話です。
結果として、グリーンITによる企業ブランドの向上効果は見込めないという結論になります。
このような状況にも関わらず、冒頭の調査結果では、”意外にも”多くのIT担当者がグリーンITの基準を設けています。
なぜか?
何人かの欧米人のIT担当上級役員のコメントを聞く限りでは、この答えは彼らならではのものだと私は感じました。
彼らは「道徳的義務感」を意識しているようです。私なりの解釈ですが、キリスト教社会に生きる彼らにとって、キリスト教史観は意識の根本に横たわっており、史観にある道徳的な教えこそがグリーンITを盛り上げている重要要因なのだと思います。
「(人間は支配者だから)壊れゆく自然は人間が護らなければダメ!」
このような言い方をすると日本人の多くは顔をしかめるでしょうが、欧米人の多くは普通に口にする言葉です。
彼らにしてみれば、グリーンITによって自然を護る(変化させない)ことができるなら、企業メリットが多少不透明であっても、地球の支配者として当然取り組まなければならないことなのです。
そう考えると、日本国内を中心に活動する企業でグリーンITが普及しない理由も分からなくもないですね。
ちなみに、キリスト教と環境問題について論じている興味深い論文を見つけました。執筆者の小原克博氏が2007年の比叡山宗教サミットに参加された次の感想が胸に響きます。
「世界平和や地球環境などグローバルな課題を好んで口にしながらも、ローカルな場では、一向に重い腰をあげようとしない宗教者の欺瞞」
→ http://it-ura.seesaa.net/article/76394699.html
グリーンITのソートリーダーは教会でも政府でもなく民間企業でした。現状にあがなう力は私達自身が切り開くしかなさそうです。
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