最終更新時刻:2008年8月30日(土) 2時12分

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ニッポン・エンジニア・レボリューション

公開日時:
2007/11/16 09:06
著者:
吉澤準特

IT業界では、ビジネス屋(管理志向)と技術屋(現場志向)の温度差がさらに開きつつあるという話を前回しました。

http://it-ura.seesaa.net/article/66772640.html

そのときにはビジネス屋としての視点で色々と意見を述べたわけですが、このエントリーを見た方の一人から、

「結局ハッピーになるのは上流SEとコンサルだけで、現場のエンジニアには何も変化はないと思う」

というご指摘を頂きました。私の意図しているところをうまく伝えられていなかったので、今回は、技術屋としての視点で、エキサイティングなIT業界を語ります。

 

技術屋としての原点 

そもそも、私自身、DB周りの技術屋であり、OracleとSQLサーバをコアテクノロジーとして、Jakartaプロジェクトの様々なソリューションを交えながら、Webフロントのシステムを構築していました。

あの頃は、tomcatに読み込ませるライブラリの順番を何度も入れ替えて、CocoonやJetSpeedを使ったマルチプラットフォームなポータルサイトの開発をしていたのですが、携わるエンジニアの数がとても少なかったため、プロジェクト参画から半年もした頃には、事実上、一人でフロントからバックまで全ての面倒を見ていました。

思い返せば、ココが私の技術屋としての原点になったと思います。

 

技術屋にとって最も重要なことは何かと聞かれたら、私は迷わず、「新しいことにどんどんチャレンジしていくこと」だと答えます。

それは、今自分が知っている範囲で最良のサービスを作り出すのではなく、まだ見ぬ領域も含めて、モアベターなサービスを見つけ出すことが必要だと考えるからです。

当時、携帯電話でのインターネット接続がそれほど普及していなかった時期に、モバイルとPCの両方にコンテンツを提供する方法を検討していたことがありました。

普通に考えたら、それぞれ用にプレゼンテーション層を用意するだけの話ですが、規模が拡大してくると、二重メンテナンスになるため、効率性に欠けるという懸念があったのです。

もし、自分の知識の範囲で解決しようとしていたら、そのような懸念は後で考えればいいと捨て置くこともできましたが、

「少しでも理想に近づく方法はないものか?」

と様々なサイトを漁っているうちに、当時まだほとんど日本では知られていなかったCocoonを探り当てたのです。

(参考:The Apache Cocoon Project)
http://cocoon.apache.org/

 

 挑戦を許容するカルチャーはあるか?

私が本当に幸運だったのは、そうやって探し出した未知のソリューションへの挑戦を許容するカルチャーが会社にあったことです。そうでなければ、結局、枯れ果てた技術を用いたSIにしかならなかったでしょう。

おそらく、こういった挑戦を許容して機会を与える場が、今のIT業界には足りていないのだと思います。エンジニアが自分の技術をうまく主張できる場がない。

ちょっと周りを見渡せば、そういった場を提供することで活気に溢れているコミュニティやサービス、ありますよね。

オープンソースのコミュニティはまさにそうですが、他にもカテゴリは異なるけれども、ニコニコ動画も実は同じです。

今や素人が動画を投稿するレベルを大きく越え、動画を操る本職のエンジニアが自分の腕を魅せるステージとして活用されています。そういった場で作品が評価されるからこそ、それをモチベーションに更にレベルの高いものを提供しようと努力する。

 

 エンジニアがチャレンジで創出するモノ

実際に、エンジニアのチャレンジ精神を掻き立てるような取り組みをしている企業はあります。

例えば、楽天。

ITproの特集記事で、『楽天が打ち出すテクノロジービジョンを追え』というものがありますが、この中で「楽天のエンジニアは”攻め”を忘れない」という企業カルチャーが紹介されています。

『――攻めのマインドとは,チャレンジ精神ということですか?

そうですね。 どんな仕事でも言われてやる仕事は面白くありませんから, 必要なことは自分たちで決めてやり切ったうえで,新しい機器の導入などに挑戦しています。

楽天ではエンジニア・マインドを満たす取り組みを組織として認め,積極的に推奨しています。そうするとエンジニアにとって面白いことがやれ,それが楽しく働くことにつながり,その結果,生産性が上がりサービスの品質も安定します。』

(参考:楽天のエンジニアは攻めを忘れない)
http://it-ura.seesaa.net/article/66781332.html

 

つまり、そういうことなんです。

エンジニアマインドを満たすための仕組みがIT業界の中には不足しているから、SIer1.0だろうが2.0だろうが、所詮エンジニアを取り巻く環境は変わらないと言われてしまうのです。

前回、私がSIer2.0という言葉を使ったのは、Web2.0の本質部分をSIerが取り入れていくことも見越してのことでした。

Web2.0の本質が何であったかは、来日しているオライリー氏がインタビューで次のように述べています。

『私が考えているのは、まず、ユーザーが中心となって巨大データベースを作り、多くの人が使えば使うほどそのデータベースは良くなっていってるってこと。“ネットワーク外部性”が成功を導いている。

1997年に私はこのことを“Infoware”と呼んでいた。でもそれは正しくなかった。きっと“Peopleware”って言うのが正しいと思う。

だから、企業が「おれたちWeb 2.0企業さ」って言うとき、私は「どんなデータベース資産を蓄積してるんだい?」って聞くようにしてる。』

(参考:「Web2.0ってなんだったの?」)
 → http://it-ura.seesaa.net/article/66781835.html

 

これをSIerに当てはめると、エンジニアが中心となってソリューションデータベースを作り、その規模を大きくしていくことになります。

もちろんそのデータベースに登録されるソリューションは、エンジニアがチャレンジすることで創出されるものですよ。

おそらく、このようなことが実現可能なのは、ある程度の企業体力を持っている大手SIerや開発を手掛けるコンサル、先進技術の開拓に余念がないエッジなソフトハウスや一部事業会社に限られるでしょう。

自分のいる会社がそういった取り組みに理解を示すカルチャーを有しているかが最重要です。もしそうでないと感じたら、あなたは今の会社を辞めた方が、エンジニアとしてより良いライフを送ることができる可能性があります。

 

私は、楽天の掲げるエンジニアマインドに期待しています。特に、アプリだけではなく、インフラ系にも活路を示そうとしている姿勢に共感を覚えます。これが本当に現場のエンジニアに活力を与えるものになってもらいたいです。

そして、そういったモデルケースを参考にしながら、その他のIT企業も後に続いていく流れが出来上がれば、きっとIT業界はもっとエキサイティングになりますよ!

 

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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