最終更新時刻:2009年7月7日(火) 7時30分
-

ゆとり教育で日本語能力低下?

公開日時:
2006/11/09 21:24
著者:
知財なう

学習指導要領に定められた必修科目を未履修のまま卒業させたり、卒業させようとしていた高校が全国の国公私立校の約1割あることが発覚して教育界は大混乱しています。

最近の報道では、履修漏れは過去にも熊本、長崎、広島、兵庫県で発覚していて、文部科学省が2002、3年に各県の教育委員会の担当者に学習指導要領に従うよう通達を出していたようです。

それにもかかわらず、これだけたくさんの日本全国の高校で学習指導要領を無視した教育が先月まで実施されていたのを知って驚きます。

内部告発で新聞沙汰になり、世間が騒がしくなる迄、それを放置してきた各県の教育委員会の無責任さにもあきれます。

また、この騒ぎに関連して、幸運にも必修科目を履修させて貰えた学生が、「(大学入試に役立たない学科を)真面目に履修して損した」と発言する報道を聞いてびっくりします。得したはずなのに... 

高校が大学入試のための予備校になっているようです。

必修科目未履修者に課す、文部科学省が決めた70時間の補修時間を与党教育再生検討会が50時間に値切ったのにも笑ってしまいます。

昨日のNHKテレビ番組「クローズアップ現代」の<読み書きできない若者対策は>で、言葉の意味を理解できない若者が企業で問題を起こしているとの報道がありました。これにも驚かされます。

番組では、「差異」、「懐柔」、「制御」、「駆動」等の漢字の意味を理解できていない若者が急増していると報道していました。

番組の結論が、「日本語能力の低下に携帯電話やパソコンの使用が影響を与えている。文章を手書きしたり、音読することが重要」、となっていたのがチョッと拍子抜けの感じでしたが...

なんだか任天堂のゲーム機「ニンテンドーDS」を買って、東北大・川島隆太教授の「脳を鍛える大人のDSトレーニング」で頭脳を鍛えなさいと言っているようです。

確かに、番組で紹介された日立基礎研の研究結果「最近の若者が、携帯電話やPCで、ひらがなや絵文字を多用するメールに時間を取られ、本を読まないうえに文章を書かないので、脳の活動が部分的になって、日本語能力が落ちている」にはうなずけます。しかし、最近の若者の日本語能力低下の根本的原因は携帯電話やPCでたくさんメールを出すことだけでは無いと思います。これまで文部科学省が進めてきた「ゆとり教育」に問題が有るのでしょう。

「ゆとり教育」を成功させるには、もっと高校生に知的刺激を与えられるような授業が教育現場で地道に実施されなくてはなりません。それが伴わない、単にだれもが百点を取れるような基礎学力を落とすだけのゆとり教育では、勉強する意欲を失う学生を大量に生み出すだけでしょう。

企業での従業員教育も同様です。作業指導書を作って従業員にロボットのような動作をさせるだけの上滑りの教育では応用動作の出来ない従業員を生み出します。それどころか、なんと作業指導書に書かれている内容を理解できていない社員がいるのです。

品質管理の基本は「上流で対策せよ」です。今回の必修科目の履修漏れ事件を一時的な騒ぎに終らせないで、「ゆとり教育」に遡って手を打たないと、知財立国日本の危機です。

「ゆとり教育」が悪いのではありません。「ゆとり教育」の目指す理想を実現するための道具あるいは仕組みが伴わない限り、このままの「ゆとり教育」は知的水準の低い日本人を社会に送り出します。

ライブドア事件、村上ファンド事件、官公庁の裏金事件、官製談合事件、汚職事件も詰まるところは、早期に不正を発見できる仕組み作りの欠如でしょう。早期に不正を検知是正できれば犯罪者を生むことも無いでしょう。

別の私のブログ「知財亭来幸」の記事も読んでください。今週の記事は「著作権法と特許法」です。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

前後の記事

このエントリーへのコメント

5

 小中学校の基礎学習を戻し、高校から選択機会を与えるというのは賛成です。
 しかし教員は楽な職業というのはいかがなものかと思います。夏休みは公立ではいまや教師は出勤となっています。休んでいる場合は権利としての有給を使っているのであって、生徒と同じ長い休みはもらえません。
 それからもうひとつ疑問に感じることは、教師に何を求めているかです。例えば、アメリカなどでは教師は十分に夏休みをとっています。それは教師が専門職であり、学校以外にも人間らしい幅広い視野をつけるべきであるからだということを留学中にみみにしたことがあります。子どもに豊かな人間性を身につけさせたい、幅広い視野を持たせたいと思っているのに、毎日学校ばかりきて学校としか向き合っていない教師が行き着く先はやはり受験合格になってしまうのではないでしょうか。
 私が親なら色々な経験のある教師に子どもには教わって欲しいと思うのですが。

  寄り道 on 2006/11/24

4

私の高校時代(s48年卒)は世界史が必修ではなかったので、社会科は日本史、世界史、地理の3科目から日本史、世界史の2科目を選択しました。私立文系を志望していた私にとって必要なのは、受験で選択した世界史、英語、国語、古典であり、他の科目は全く不要でしたので、当然に、日本史の授業では、世界史を自習していましたし、入試に関係ない数学はいつも赤点ばかりでした。

 今回の騒動ではいろいろ言われていますが、いまさら50時間、70時間やるのは必修が何かも知らなかっ
た生徒達にとっては迷惑な話だと思います。私自身社会人になって何10年も経ちますが、日本史の知識が
無いからといって困ったことはありません。ただ、NHKの大河ドラマを見ていると、少しでも日本史の知識
があればもう少し楽しめるのにと思ったことはあります。

 結論を言いますと、小中学校の勉強の範囲をゆとり教育以前(といっても教える範囲は何年もかけて減ら
してきたようですが)に戻し、高校からの選択範囲を広げることで、本人の適性や大学受験に備えた勉強を
すれば良いのではないでしょうか。小中学校での読み書きソロバンの習得により、就職しても何とかやっていけるでしょうし、義務教育での広範囲な

  眠谷山房 on 2006/11/11

3

私の高校時代(s48年卒)は世界史が必修ではなかったので、社会科は日本史、世界史、地理の3科目から日本史、世界史の2科目を選択しました。私立文系を志望していた私にとって必要なのは、受験で選択した世界史、英語、国語、古典であり、他の科目は全く不要でしたので、当然に、日本史の授業では、世界史を自習していましたし、入試に関係ない数学はいつも赤点ばかりでした。

 今回の騒動ではいろいろ言われていますが、いまさら50時間、70時間やるのは必修が何かも知らなかっ
た生徒達にとっては迷惑な話だと思います。私自身社会人になって何10年も経ちますが、日本史の知識が
無いからといって困ったことはありません。ただ、NHKの大河ドラマを見ていると、少しでも日本史の知識
があればもう少し楽しめるのにと思ったことはあります。

 結論を言いますと、小中学校の勉強の範囲をゆとり教育以前(といっても教える範囲は何年もかけて減ら
してきたようですが)に戻し、高校からの選択範囲を広げることで、本人の適性や大学受験に備えた勉強を
すれば良いのではないでしょうか。小中学校での読み書きソロバンの習得により、就職しても何とかやっていけるでしょうし、義務教育での広範囲な

  眠谷山房 on 2006/11/11

2

東北大・川島隆太教授も「文章を手書きしたり、音読することが重要」とおっしゃっています。脳実験でも実証済み。「ニンテンドーDS」よりもその方が脳は活性化されると思います。ゲームはよくないと川島教授は言っていたのに、なぜニンテンドーDSなのか?ですが。ゆとり教育をはき違えて基礎学力を落とすのではなく、基礎をきっちり押さえるためにゆとりをもった教育が望まれます。今の状態では先生にも生徒にもゆとりがなさすぎて、間違った方向に行っていますね。今膿がでてきていますね。

  通りすがり on 2006/11/11

1

>幸運にも必修科目を履修させて貰えた学生

と、言う部分に大変同感致しました。

知識が増えて、幸福になることはあっても、不幸になることは、絶対にない訳です。

知識が少なければ少ないほど、人生の選択肢は狭められます。ある知識を、ちょっと知っていればヒョイっと飛び越えられるような困難が、知らなければ、途方も無い壁のように感じられることは、よくあることだと思います。

例えば、今問題のイジメについても。

イジメは今も昔も、人類が地上に生まれて以来ある問題だろうと思います。そして特に、無知で閉鎖的な社会程激しく行なわれると思います。

歴史や経済や数学や、多くのことを学んで「昔はこんなに酷い戦争等があったのに、今自分は平和な世界に生かされて幸せである」とか「世界はこんなに広いのだ、こんなところで死んでたまるか」とか「この学問をもっと知りたい」「この職業に就いてみたい」「こんな生き方も世の中にあるのだ」と知ることができるのではないかと思います。

又、私もクローズアップ現代を見て、愕然としました。(結論の付け方にガクとしたのも同感でした)

学ぶ意欲がある若者に、ちゃんと知識の泉を教えてこなかった学校教育に、本当に疑問を感じました

  ゆきんこ on 2006/11/10

ブログにコメントするにはCNET_IDにログインしてください。

CNET_ID

メンバー限定サービスをご利用いただく場合、このページの上部からログイン、またはCNET_ID登録(無料)をしてください。