最終更新時刻:2009年11月27日(金) 14時18分
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間違ったコンサバティズムの横行を懸念する

公開日時:
2008/02/26 23:57
著者:
McDMaster

 コアなネットユーザにはおなじみの「はてな」の各サービスを提供する(株)はてなが本社機能を京都市内に移転するニュースが流れ、既に十日超が過ぎた。
 それまでの間、ほかならぬはてなの中のサービス、例えばはてなダイアリーはてなブックマークの中で、はてなの本社移転の賛否および今後の見通しが活発に議論された。

 議論の内容を乱暴に二分すると、以下のようになる。

  1. はてなは、アメリカで新サービスを展開すべく Hatena Inc. を設立した上で社長の近藤氏が渡米したのにこんどは京都移転では、ユーザとしての納得感が得られない。近藤氏は、経営者の立場でユーザに向けこれまでの経緯と今後の方針につき説明する責任がある。
  2. はてなは、近藤氏の著書にあった「へんな会社」という呼び名にはかるまでもなく、近藤氏の強い個性なくしては存在し得ない。ましてやはてなは非公開企業のため、創業者かつ実質オーナーである近藤氏の自由な裁量の下に全ての経営は委ねられている。ユーザである我々は、近藤氏の決定を常に支持しなければならない。

 私自身熱心なはてなユーザのため、上記2つの視点はどちらもうなずける。1. の方は、企業の社会的責任、いわゆる CSR の観点に基づけば当然行われてしかるべきだろう。一方 2. は、「株式会社」はてなのコントロール権がほぼ近藤氏の掌中にある現在、あくまで「外野」であるユーザができることはサービスの活発な利用を通じはてなを振興することにほかならない、という主旨である。
 私がはてなダイアリーやはてなブックマークを見ていた限りでは、おおよそ 2. の方の意見を支持する層が多かったように見受けられる。

 とはいえ、2. の意見の方が主流という前提で、私はあえて問題提起を行いたい。

 人が企業人の立場で行動する際に、内部要因と外部要因をそれぞれ意識することが大切というのはおそらく多くの人が気付いていることだろう。
 例えば内部要因は各人の持つスキル、あるいは性格や健康といったものを挙げることができる。一方外部要因としては、給与・賞与の多寡、プロジェクト体制、福利厚生などの各種社内制度、さらに社外にまで視野を広げれば法規や技術標準などが挙げられる。
 ここで外部要因に着目するなら、おおよそそれは各企業人が個人レベルでコントロールするのはまず不可能であることがわかる。こうした「アンコントローラビリティ」は、ときに企業人のモチベーションの阻害要因になる。

 過去、「ワンマン社長」と呼ばれた人物がいた。いや、今でも中小企業などでは創業者や二代目・三代目の社長がワンマンなところは多いだろう。ワンマンというのは、いわゆるリーダーシップとは趣が異なる。それは常に思いつきで立ち回るとか、従業員の都合をほとんど省みないとかといった経営行動に現れる。
 過去の有名なワンマン経営者には、三越の岡田社長、そごうの水島会長、大昭和製紙(現在は日本製紙に統合)の斎藤会長といった人々がいたことを、半ば懐かしさも込め思い出すことができる。最近ではグッドウィルの折口会長がいるだろうか。いずれも自らが経営する企業を傾かせた張本人として有名な人たちばかりだ。
 そういう愚かなワンマン経営者たちを若い世代の企業人たちは忌み嫌い、自分はああはなりたくないと思ったものだった。あるいは、自身の勤める企業の経営者がワンマンであることに気付いたとき、何とも言えない虚しい気分に囚われたものだった。少なくとも、私はそうだった。

 しかしながら、そうしたアンコントローラビリティゆえにとくに忌み嫌われてきたはずのワンマン経営を、ことはてなの近藤氏のそれに限ってはいかにもコンサバティブに強く支持する意見が多数を占めたことに、私は新鮮な驚きを感じていた。
 そしてそこには、例えば選挙に行かない人が「どうせ一票だけでは政治は変えられないから」と嘆くような「あきらめ感」ではなく、言葉を選ばずに書くなら盲目的な信仰にも似たメンタリティが見て取れたのだ。
 そうした態度が、上記 2. で述べたようなはてなへの支持を本当に実現するものなのかどうか、私はどうにも疑念を持たずにおれない。それは本当にはてなのためになるのか、と。あるいは、近藤氏を「はだかの王様」にしても構わないのか、と。

 とはいえ、私ははてなや近藤氏をどうにもできない。だからこそ、こうして blog を用い、はてなと近藤氏を支持するがゆえにあえて問題提起をしている。
 創業者でも株主でもないにしても、ユーザの立場ではてなの経済的・経営的発展のためにしてやれることは本当は何なのかという点を、はてなユーザ一人一人が今まさに考えるときではないだろうか。そしてそのときに、カビ臭いコンサバティズムはもはや無用のはずだ。
 アンコントローラブルでない、自分のできるところから始めてみたい。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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