クリスマスをまさに直前に控えた今、「初音ミク」まわりがまたぞろ騒がしいことになっているらしい。
詳細は、「たけくまメモ」にとてもよくまとめられている。
また同時に、「初音ミク」の製造元であるクリプトン・フューチャー・メディア(株)(以下クリプトン)の伊藤社長の blog にもあわせて目を通すと良いだろう。
「初音ミク」は、「プロシューマ」化をより進めると私の過去のエントリで書いた記憶がある。それにもかかわらず、権利関係で現在のようなゴタゴタが起きていることはとても看過できるものではない。
ネットにかかわる者の一人としては、この事態の早期収拾を願ってやまない。
ドワンゴに限らずとも、プロシューマ化の進行によって「生産」される良質な CGM (Consumer-Generated Media) をマネタイズする仕組みの構築には、多かれ少なかれネットとメディアにかかわる企業群は頭を悩ませているに相違ない。
そしてもしそれに失敗すれば、企業の存続すら危ぶまれることとなる。
とくに上場企業であるドワンゴ・グループにとっては、企業の永続、すなわち「ゴーイング・コンサーン」は常に突きつけられている課題である。「ニコニコ動画」なども、ゴーイング・コンサーンを目指す上で CGM をマネタイズする試みの一つと捉えて良い。
企業が儲けるのはケシカラン、という発想はここでは合理性を欠く。というのも、企業とて雇用を確保する、あるいは景気の高揚に寄与するといった社会的使命があるのだ。そしてそこには、優秀な CGM クリエイターを発掘するという使命も含めて良いだろう。
とはいうものの、こと今回の「初音ミク」の件に関しては、ドワンゴ・グループ側は CGM クリエイターの名を JASRAC 登録から外すのみならず、クリプトンの商標である「初音ミク」という名称を勝手に使用するというミスを犯した。
これは責められてしかるべき事務的ミスである。ぜひ、何らかの補償がクリエイターとクリプトンに向け行われることを期待したい。
一方、クリプトンの側である。
少なくとも伊藤社長の blog を読む限りでは、ドワンゴとの交渉は平行線のままで、泥仕合の様相を呈しているように見える。
しかしながら、あえて今伊藤社長には考えて欲しいことがある。
伊藤社長の立場で「初音ミク」ファン、あるいはネットユーザを代弁しつつドワンゴの行為を非難するという気持ち、言い換えるならば「義憤」は、まあわからないでもない。
しかしながら、プロシューマの利得という、今回の関係者たちが本来守ってしかるべきもののことを考えたときに、伊藤社長の態度には大きな疑問符を付けざるを得ないのだ。
というのも、例えばキヤノンのカメラで写真を撮るカメラマンを擁する出版社がキヤノンからあれこれ難癖を付けられる言われはないはずなのに、現状で伊藤社長が取っている態度はそれに等しいと思えるからだ。
先にも述べたように、「初音ミク」は素晴らしい「ツール」である。とはいえ、あくまで「ツール」なのである。そのツールを用い作成・編集された楽曲が以降どのような途をたどろうとも、極論するならば、クリプトンはそれにつき責を負う、あるいは権利を主張する論理的正当性を持たないはずである。
にもかかわらず、JASRAC への反目も含めここまで執拗に食い下がる伊藤社長の労力はいかばかりかと察する。
実際に、権利関係の交渉はクリプトン自身が行っているのではなく、仲介者を立てていると伊藤社長も述べている。その状態が、まさにクリプトン側のリソース不足を、あるいは法務面での専門性の欠如を如実に表している。
他人に任せておいて思い通りに事が運ばないからと言いドワンゴや JASRAC を敵視するやり方はいかがなものか。
とはいえ、問題の核心は、やはりドワンゴ側が権利関係(著作権+商標)をうやむやにしたまま「着うた」の JASRAC 登録申請を行ってしまったことだろう。
これがもし JASRAC による二次著作物の流通規制という事態を招くなら、本来ドワンゴが期待するはずの CGM のマネタイズに必要なプロシューマの振興を阻むものともなりかねない。
いくらクリプトン・伊藤社長の弁に論理的整合性がないとしても、ここはドワンゴの側が自身の将来も見据えた上で、ただちに過ちを認め適切な訂正を行い、元の作者に利益が還元される、さらにはプロシューマの保護に寄与する経営施策を提示せねばならない。
でなければ、ドワンゴの今後の収益の柱となっていくはずの事業の首を自ら絞めることとなってしまうに違いない。
では、事態の早期収拾を願い Merry Xmas & A Happy New Year!!
※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。
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