今最もホットな話題と言えば、文化庁が違法サイトからのダウンロード・コンテンツの私的利用を禁止するという見解を出したことだろう。
なお、あくまで現時点では「見解」で、決定事項ではないことに注意しておかねばならない。
参考のために、ITmedia の記事を引いておく。
反対意見多数でも「ダウンロード違法化」のなぜ「ダウンロード違法化」が不可避に―― 12 月 18 日に開かれた、「私的録音録画小委員会」(文化庁長官の諮問機関・文化審議会著作権分科会内)で、「著作者に無許諾で動画や音楽をアップロードしたサイト(以下「違法サイト」)からのダウンロード(※注:「ニコニコ動画」「YouTube」などでのストリーミング視聴は含まない)を、著作権法 30 条で認められた「私的使用」の範囲から外し、「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」という方向性がまとまった。
ここには、いくつかの重要な問題が潜んでいる。
まずは、著作権法 30 条の扱いである。
昔日のファンの中には、アナログレコードからカセットテープにダビングするとか、あるいは FM ラジオの音楽を録音する(「エアチェック」)とかといった楽しみ方をしていた人が多いと察する。
これらの行為は、全て著作権法 30 条によって保障されていたことは私がここで書くまでもない。
そして、その保障によって醸成されたダビングやエアチェックといった文化は、ソニー「ウォークマン」を爆発的にヒットさせたという経済的効果があったことも認めなければならない。
かように、著作権法 30 条というものは、楽曲の創作(製造)から流通、そしてリスニング(消費)という一連のバリューチェーンに多大なる貢献をしてきた歴史があるのだ。
翻って 21 世紀の現代である。
インターネットの登場が音楽や映像といったコンテンツの流通形態を多様化させたと言われて既に久しい。そしてその「多様化」の中に「違法サイト」といったものも残念ながら存在する。
違法サイトは、叩いても叩いても出てくるというように、今やイタチごっこの様相を呈している。こんなときに著作権の管轄官庁である文化庁としてはどういうアクションを考えるか。
そんな経緯で出てきたのが、ダウンロード違法化という見解である。上で述べたバリューチェーンのいちばん後ろ、つまりリスニングにかかる私的利用を抑え込めば違法な流通も阻止できるという魂胆である。
おそらく、市井の文化庁への批判の焦点はこのあたりにあるのだろう。臆せずに書くなら文化庁はボンクラで、本来取るべき施策を取らずに安直な手段を選ぼうとしているというあたりである。
とはいえ、文化振興施策に十分な予算を配分しない日本の政府や官庁が安直な手段に走ったとしても、非難を承知で言うなら個人的には同情を禁じ得ない面もあることはたしかだ。
違法サイトの撲滅に本腰を入れて取り組むなら文化庁や文部科学省だけでなく、警察庁などの諸官庁との横の連携、そして制度整備のための莫大なカネが必要となる。ならば手っ取り早いところで違法コンテンツを末端で根絶やしにしてしまおうと考えるのもまあムリはない。
もうひとつ注目しておくべきは、「違法サイトと知ってダウンロードした場合は違法とする」というところ、つまり法的に言う「悪意」の存在の有無である。
昨今の違法サイトの中には、違法サイトと意識させずに楽曲をダウンロードさせるところもあると聞く。そういうところから仮に消費者がダウンロードおよび私的利用をしたときに、見解では保障の余地があるとされているのだ。
これは法解釈という点では、しごくまっとう、当然あるべきと言えるだろう。ただ、では合法サイトに見せた、あるいは似せた違法サイトそのものを正当化できるかと言えば、それはまったくの誤りである。
そうした違法サイトの中には確信犯的に運営されているものも数多く存在するであろうことは想像に難くない。そう、コンテンツは広範に無料で提供されるべきという「確信」である。蛇足ながら、こういう「確信」を声高に吹聴してはばからない分子が増えつつあることにいちおうの懸念を表明しておかねばなるまい。
クリエイターが経済的利益を得る権利が侵されることがあってはならないとかねてから主張している私の立場で言うならば、こういう「確信」はやはり誤りとせざるを得ない。
ちゃんとクリエイターへのマネタイズ・モデルが確立された上で、中間権利者/配信者も潤うという Win-Win の関係が構築されることを望みたい。
おまけとしては、「私的録音補償金制度」についてである。「ダウンロード違法化」ショックのせいでその問題が隠れている格好に今なってしまっている気がする。
消費者としては、本来払う必要のないカネは一円たりとて払いたくないという主張があるだろう。ごもっともである。過去の「小委員会」の場でも、「補償金」擁護派の委員から「ケチケチせずにそれっくらい払えばどうだ」という意見があったと聞く。まったくもって、ふざけるなと言いたい。
その「本来払う必要のないカネ」の根拠は、上で述べた著作権法 30 条の解釈に基づいている。つまり、私的利用の自由の保障である。
これは、「ダウンロード違法化」、いや「違法ダウンロード違法化」(なんかヘンだ)とは切り離して考える必要がある。
エントリが長くなってしまうといけないので以降は割愛する。しかしながら、注目すべき動きが出てくるようならまた改めてエントリに上げたいと思う。
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