最終更新時刻:2009年11月7日(土) 10時00分
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朝青龍問題とリーダーシップ

公開日時:
2007/08/17 14:32
著者:
McDMaster

 お盆休みに帰省した際、普段はまず観ることのない TV ワイドショー番組を連日観る機会を得た。そこでは、大相撲横綱・朝青龍関の「仮病」問題がこれでもかとばかりに報道されていた。
 いいかげん毎日毎晩朝青龍関を見せられれば、食傷気味にもなるというものである。果たして国民は、これほどまでに朝青龍関の動向に興味を持って見ているのだろうか?むしろ、今開かれている甲子園の高校野球の秀逸なプレーをダイジェストでもいいから見せて欲しいと思うのは私だけだろうか?

 それはともかく、お盆に限らず一連の「朝青龍騒動」を見て私が強く感じたのは、朝青龍関のボス・高砂親方(元・大関朝潮)のリーダーシップの欠如ぶりであった。

 とはいえ、高砂親方のリーダーシップの方法が根本から間違っていたと主張するつもりは私にはない。
 朝青龍関は、まがいなりにも大相撲の頂点を極めた「横綱」である。心・技・体が全て最高のレベルに達した力士のみに許される横綱という地位に、高砂親方が次代の大相撲のリーダーシップを託した、言い方を変えればエンパワーメント(権限委譲)したのはけして適切さを欠くものではないだろう。
 土俵上、あるいは土俵そばでの朝青龍関の振る舞いがときに批判を浴びることもあった。そのときにも高砂親方の管理監督責任が問われたことはある。しかしながら、高砂親方はあえて朝青龍関をエンパワーメントし続けることを通じ、彼が自ら大相撲界のリーダーとしての矜持を得ることを期待したのだった。

 現代的な高砂親方のエンパワーメント型リーダーシップは、少なくとも今回の騒動が起きる前までは成果を上げつつあったと言えるだろう。
 ライバルの白鵬関の横綱昇進に伴い、東西横綱が久しぶりに出揃った。これから、両横綱の各場所での勝負に期待を寄せる相撲ファンも少なくなかったはずだ。

 それが、今回の騒動で全て帳消しになった格好となってしまっている。少なくとも冒頭で触れたお盆の時期の TV 報道では、朝青龍関に同情的なものは一つとして見られなかった。
 しかしながら、blog 上ではマスコミの偏向報道ぶりを指摘するエントリ(「むらログ」より)も上梓されつつある。あえて「上梓」というコトバを用いたのは、そこに知性の一片を感じ取れたためである。

 少し話しがズレてしまった。リーダーシップに話題を戻したい。
 今の朝青龍関、ならびに高砂部屋が遭遇している「泥沼」「非常事態」、これは誰の目から見ても明白だろう。そして、エンパワーメントされたはずの朝青龍関自身にその解決の能力あるいは機会がもはやないことも明白である。

 では、ここで発揮されるべきリーダーシップはどういう種類のものだろうか。そして、それは誰によって行われるべきか。
 とうぜん、日本相撲協会は相撲部屋および力士を管理監督する責任はあるだろう。だがしかし、高校野球と違い対象は皆いちおう立派な大人である。ましてや今回は心・技・体を併せ持つとされる横綱が対象である。
 あるいは、日本相撲協会が主催する地方巡業で朝青龍関を欠いた際に、地域の人々からは逆にそれが好評を得たとも報道されている。とすれば、興行主体である日本相撲協会は、その利益に適うことを優先することは誤りではない。

 となれば、ここで発揮されるべきリーダーシップは、高砂親方による率先垂範型リーダーシップにほかならない。さらに、高砂親方はそうしたリーダーシップを、朝青龍関に対してのみならずマスコミ、日本相撲協会、あるいは朝青龍関を診察したとされる複数の医師たちに対しても発揮しなければならない。
 そうして、朝青龍関を取り囲む人たち、違う言い方をすれば「ステークホルダー」たちの意思統一を図るべきだ。また、ステークホルダーたちにもし理解できない事柄があれば、理解できるよう説き続けることもリーダーシップの発揮においては必要だ。

 しかしながら、残念なことに今の高砂親方は、そうしたリーダーシップを全て放棄してしまっているようにしか見えない。高砂親方は、大相撲を担う責任を持つ者の一人としての自覚があまりにもなさ過ぎる。
 そして、そういう態度が朝青龍関に伝わったと捉えるのは実に簡単だ。

 かつての横綱・千代の富士関(現・九重親方)が引退表明をしたとき、大相撲の一つの時代が終わったと誰もが感じた。その後に訪れた若貴ブームは、一過性のバブルのようなものだった。さらにそれを過ぎ、小錦・曙・武蔵丸といったハワイ勢を中心とする外国人力士の台頭を迎え、大相撲がいよいよ国際化する段階に入った。その傾向を定着させたのが朝青龍関の立場だったはずだ。
 そうした定着が、今回のような薄っぺらい騒動で台無しになるとしたら、日本相撲協会にもファンにも、あるいはマスコミにとってもベネフィットとはならなくなるだろう。
 ぜひ、「むらログ」のような優れた知見と、適切なリーダーシップを通じ難局を打開して欲しいと願うばかりである。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

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