東芝、EMI株を売却へ 音楽事業から撤退 宇多田、ユーミンは… - イザ!
東芝は14日、音楽ソフトなどの関連会社、東芝イーエムアイ(EMI)の株式を、英国EMIグループに売却し、音楽事業から撤退すると発表した。
東芝EMIの株式のうち55%は英国EMIが、45%は東芝が持っている。東芝は2007年度上期に保有株すべてを約210億円で譲渡する。
東芝EMIは「東芝グループとは協力関係を保っていきたい」(堂山昌司社長)としている。社名は当面変更せず、今後も音楽中心に事業を運営する。
東芝グループの「選択と集中」戦略の結果が東芝 EMI の売却ということらしい。
引用したニュースの見出しにもあるように、宇多田ヒカルや松任谷由美、あるいは海外ではビートルズなどの優れたアーティストによるコンテンツの国内独占販売権を有する一大「コンテンツベンダ」が東芝グループを離れるというところに、時代の流れを感じる。
というのも、アーティストやコンテンツの価値(それはネームバリューであったり、あるいはコンテンツそのものの質的価値であったりする)が音楽市場を左右する時代は過ぎ、配布・配信の方法、およびそれにかかるサービスの展開の仕方が「コンテンツベンダ」の雌雄を決するようになったと捉えられるためである。
言い換えるならば、「コンテンツベンダ」としてのバリューチェーンの構造が変わってきたということになる。
過去の東芝 EMI は、コンテンツを仕入れてレコードや CD を製造・販売する「メーカ」的側面を持っていた。いや、おそらく東芝 EMI を「コンテンツベンダ」としてよりも「レコード会社」として見る消費者の方が多かったに違いない。
メーカ(製造業)のバリューチェーンを定義するのは比較的簡単である。これは、ビジネススクールの授業を受けたことのある方ならご理解いただけるかもしれない。
しかしながら、音楽産業がよりサービス化するにつれ、そのバリューチェーンを定義することじたいが難しくなってきた。どこまでが固定費でどこからが変動費、つまり売上の多寡に連動する費用かを掴みづらくなったのである。
ならば、東芝 EMI を売却した上で、現在東芝グループが注力しているフラッシュメモリの製造や原子力分野に集中するという経営判断も企業戦略としては理解できなくもない。
経営的な視点から消費者的視点に目を移せば、こんごの「新生」東芝 EMI がコンテンツの流通形態に自由度を与えるようであれば、それこそ iTMS をはじめとする多くの販売チャネルが開拓でき、それにより、消費者はより多くのコンテンツを得る機会が与えられるようになるかもしれない。これは歓迎されるべき状況と言えるだろう。
また、販売チャネルを拡大できれば、再度経営側の視点に戻れば、より多くの売上を得たり、あるいはこれまで日の当たらなかったコンテンツがより広く長く需要されるという「ロングテール」の利益にあずかれなくもない。
いろいろな意味で、「新生」東芝 EMI のこんごの動きに注目していきたいものである。
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