最終更新時刻:2009年11月7日(土) 10時00分
-

「mixi 販促」はなぜ失敗したか

公開日時:
2006/07/23 23:37
著者:
McDMaster

 livedoor ニュースによると、NTT ドコモが「プッシュトーク」サービスの販促コミュニティ(以下、一般的な「コミュニティ」と区別するために「コミュ」と略することとする)をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の mixi 内に立ち上げたが、わずか 10 日で閉鎖に追い込まれたそうだ。

 私がこれを見て思い出したのは、「最悪のブログ・キャンペーン」と呼ばれた Raging Cow のケースである。
 もっとも、媒体としては SNS と blog という差はあるのだが、打つ手打つ手がことごとくマイナスに作用し、最終的に企業側がネット・コミュニティからの撤退を迫られたという点ではよく似ていると言える。

 プッシュトーク(蛇足だが、技術屋の私にとっては Push to Talk の方がしっくりくる)は、TVCF などの広告媒体に、今が旬の KAT-TUN の亀梨和也氏を起用したにもかかわらず、商業的に大成功したという話を個人的にはほとんど聞かない。
 いや、私が知らないだけかもしれないが、冒頭のニュースを読んで、私は、NTT ドコモがプッシュトークの販促に相当の焦りを抱いていたのではないかと穿った見方をしてしまう。

 それはともかく、livedoor ニュースに記された内容に基づけば、mixi 内におけるプッシュトークの販促コミュが成功しないであろう明白な理由をいくつか見付けることができる。
 ざっと挙げてみれば、以下のようなところだろうか。

  • 独自利用規約やスレッド作成制限などの「スーパー・ローカル・ルール」がコミュに設けられた
  • そのスーパー・ローカル・ルールに基づいて行動する「管理人」が、コミュ・メンバーとの積極的な交流を怠った
  • 「批判」や「揚げ足」を甘受せず、一方的にマイナス要因と決め付けた

 このコミュの作成には mixi 運営会社の(株)ミクシィ(サービス名と区別するため、運営会社名は以降カナ表記とする)も少なからずリソースを割いていたと考えられるが、コミュの不成功を見るにつけ、NTT ドコモにしてもミクシィにしても「コミュニティ・ビジネス」というものを十分にわかっていなかったとしか思えない。そう、先に述べた Raging Cow のようなスタディ・ケースが既にあったにもかかわらずだ。

 ただ、失敗したものを後から責めることはあまり意味をなさない。
 コミュニティ・ビジネスにはいったいぜんたい何が必要なのか。それが明確にできないようでは、せっかくの萌芽を見せつつあるコミュニティ・ビジネスそのものをすっかり枯渇させてしまうことになる。

 長くなるといけないので、結論を急ごう。

 コミュニティ・ビジネスを行う上で企業側に欠かせないのは、梅田望夫氏が著書『ウェブ進化論』で説いていた、ネットへの「無邪気」な信頼そのものではないだろうか。
 具体的に言えば、プッシュトークのコミュにおいては、「管理人」はスーパー・ローカル・ルールなどではなく mixi というコミュニティの「マナー」にのっとり、双方向的なコミュニケーションを積極的に行うべきだった。
 だいたい、自身から情報を発信せずして収集だけを行うのが CGM だと思っていたとしたら、ずいぶん虫のいい話だ。そんな態度にコミュニティ(コミュ)の参加者たちが時間を置かずして反感を抱くようになったのはしごく当然だろう。

 どうやら CGM を販促やマーケティングに利用しようと目論んでいる企業、梅田氏が言うところの“エスタブリッシュメント”のお歴々は、コミュニティから最も遠い位置に今いるのは間違いなさそうだ。そういう人たちが大上段に構えてスーパー・ローカル・ルールを振りかざしてもけして消費者は振り向いてはくれない。
 企業が本格的に CGM を販促で使いたいのであれば SNS や blog に慣れ親しんだ人材を使うべきだ、という当たり前のことを認識するためにはもう少しの時間が掛かるのだろうか。

※このエントリは CNET Japan ブロガーにより投稿されたものです。朝日インタラクティブ および CNET Japan 編集部の見解・意向を示すものではありません。

前後の記事

CNET_ID

メンバー限定サービスをご利用いただく場合、このページの上部からログイン、またはCNET_ID登録(無料)をしてください。