公務員離れした給与、副業容認でデジタル人材確保--東京都がDX新組織「GovTech 東京」

 東京の小池百合子都知事は、都全体のデジタル化を推進するための新組織「GovTech 東京」の設立を目指すと発表した。2023年後半の立ち上げに向けて、都議会の予算通過を目指すとしている。

東京都の小池百合子都知事
東京都の小池百合子都知事

 GovTech 東京では、公務員の枠では実現できない民間IT企業を意識した給与水準や、柔軟な働き方を提示することで、採用競争が熾烈なデジタル人材の獲得を目指す。フルリモート勤務や副業の容認も視野に入れる。そのため、東京都の組織ではなく、民間の公益社団法人としての立ち上げを想定する。

 規模は当初は数十人程度を想定する。東京都の職員も出向し、行政の中身がわかる都庁側の職員とデジタル人材がコラボして、都庁や各市区町村のデジタル化推進業務を請け負う。

 なお、「公務員よりも民間の雇用市場を意識した報酬を提示する」(都の担当者)とするものの、外資系企業のような桁違いの報酬は提示できないとしている。また、基本はジョブごとの採用となり、職種やスキルによっては高い報酬を提示できるという。雇用契約は1年毎で最長5年間を想定する。

 また、公共部門に精通したデジタル人材の輩出組織を目指すといい、若くて高い専門性を持つ多種多様なデジタル人材をICT職として積極採用するという。加えて、市区町村のデジタル人材不足が深刻だとして、GovTech 東京のデジタル人材を都と市区町村でプールすることも想定する。

 会見に登場した東京の小池百合子都知事は「東京の都市力は世界屈指だが、デジタルでは追いついていない。しかし、発想を変えれば、まだ伸びしろがあるということ。(GovTech 東京の設立によって)東京をデジタル都市へ変貌させていきたい」と意気込みを語った。

 宮坂学副知事は「市区町村からもデジタル化で苦労しているという話を聞いている。都庁のデジタル化だけでなく、東京都全体のデジタル化が必要」とコメント。GovTech 東京で確保したデジタル人材を活用し、例えば東京都と市区町村でITの共同調達を実現するなど、東京都の行政全体をデジタル化によって効率化していく考えを示した。

左から東京都の宮坂学副知事、小池百合子知事
左から東京都の宮坂学副知事、小池百合子知事

 都の担当者は「Govtech 東京は『人事制度の発明』が非常に重要な点。今までは公務員のルールに縛られながら制度を作ってきたが、これは法律が絡むので、民間のようなスピード感でやるのは難しかった」と話した。

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