App Storeのプライバシー表示変更で巻き起こる波紋--Appleニュース一気読み

 Appleは12月15日、iOS 14.3やwatchOS 7.3などのソフトウェアアップデートを行なった。すでにアナウンスされていた新機能、例えばiPhone 12 ProシリーズのカメラアプリでのApple ProRaw撮影への対応や、Apple Watchで心肺機能を計測できるVO2Maxへの対応など、さまざまな追加機能が行われた。

 しかしそれ以上に大きな波紋を広げているのが、App Storeのプライバシー表示だ。

 Appleは12月15日から、App Storeで、全開発者共通の「プライバシー表示」を開始した。開発者の自己申告で、そのアプリがどのような個人情報を扱うのか、関連づけるのかという「事実」を明らかにする仕組みで、ユーザーは同じフォーマットで、アプリを比較することができる仕組みだ。

 Appleはこれまでも、プライバシーについては透明性とユーザーによるコントロールが行えることが原則であり、Apple自身もできるだけ個人情報を集めないように標準アプリを構成してきた。開発者に対しても、そうしたポリシーに賛同してほしいという思いがある。

 その一方で、Facebook傘下のWhatsAppは、プライバシー情報を集めるかどうかしか表示できず、暗号化などのプライバシー対策について記載することができない点、またiOS標準アプリはこうしたプライバシー表示を逃れている点を指摘し、この施策に賛同するものの、やり方については不満を述べている。

 しかしAppleのプライバシー対策はこれにとどまらない。延期されていた「App Tracking Transparency」、すなわちアプリでの個人トラッキングについて、ユーザーが許可しなければできなくなる変更を1月にも開始する方向だ。

 簡単に言えば、今まで知らないうちに個人を特定する形でウェブ上での活動を追いかけ、最適な広告を掲出してきた技術が、ユーザーによる許可性へと移行することを意味する。

 AppleのウェブブラウザSafariとともにプライバシー対策を強化してきたFirefoxを提供するMozillaは、Appleの動きを歓迎している。しかしFacebookはこの変更に対して批判する全面広告を米有力紙に掲載し、Appleの新しいポリシーを「プライバシーよりも利益を追求している」と主張した。

 Facebookがこれだけ反論する理由は、同社のビジネスモデルである広告モデルの根底に制限がかけられるからだ。Facebookはパーソナライズ広告の制限で、大規模企業以上に、小規模企業の死活問題であると指摘した。

 Appleは必ずしも、パーソナル広告のビジネスモデルを否定しているわけではない。ユーザーの許可を取れ、と言っているだけだ。しかし知らないうちにユーザーが追いかけられている事実を知らしめることになり、Facebookにとっては不都合な真実が周知されるというわけだ。

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AirPods Max、意外に早く届く

 予約の段階では12〜14週間という納期が示され、品薄であることも話題になったAppleのオーディオ機器の最高峰、AirPods Max。米国などでは12月15日発売だったが、日本では18日と3日遅れての出荷となった。ところが発売されて以降、予約していた人への配送日は早まり、年内に到着する人もいたようだ。

 筆者もAirPods Maxを試聴しているが、非常にバランス良く、低音から高音まで澱まず出力され、ボーカルがある曲では声の繊細さから力強さまでを表現し切る。主張や特性が少なく、音楽を楽しむための道具、脇役といった役割をきっちり果たしてくれる印象だった。

 手で持つと重たいが、ヘッドバンドのニットメッシュや低反発のイヤーパッドなどでうまく重量を逃し、装着感も良い。確かにこれは豊かな体験と言える。遮音性が高い上、マイクも増強されて外部音の取り込みもよりリアルになった。マイクから拾って再生される自分が発した声に違和感がない点には驚かされる。

 ソースをApple TV+に変えてみると、別世界だ。セリフは正面にあるiPhoneやiPadから、BGMは後ろから迫ってくる。首を振っても、音位(音が聞こえてくる位置)は変わらず、前述の遮音性の高さも相まって、iPadでの映像視聴には手放せなくなりそうだ。

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