アップル、世界のスマホ販売台数4位に転落するも決算が期待できる理由--Appleニュース一気読み

 調査会社Gartnerによると、Appleの2020年第3四半期における全世界でのスマートフォン販売台数は4位だった。それまで4位だったXiaomiに押し出された格好だ。

 2020年第3四半期の全世界のスマホ販売台数は3億6666万台で、前年同期比5.7%減。新型コロナウイルスの完成が収まらない中、スマートフォン購入者が減ったことが原因とみられる。上位の順位は以下の通り。

 1. Samsung 8082万台(+2.2%)

 2. Huawei 5183万台(-21.3%)

 3. Xiaomi 4441万台(+34.9%)

 4. Apple 4060万台(-0.6%)

 5. Oppo 2989万台(-2.3%)

 ※その他 -14.7

 Gartnerは、新型コロナウイルスの影響で景況が悪化しており、不要不急の買い物を控える傾向が強まったとの見解を示している。HuaweiからXiaomiへと販売の軸が大きく移っており、中国メーカー内でもブランドン新陳代謝が起きている。

 Appleについては、2020年第3四半期は例年と異なり、新型iPhoneが発売されなかった。Appleは9月上旬にiPhoneを発表し、下旬に発売することで、第3四半期に1週間程度の新型iPhone販売が含まれるスケジュールを組んできた。しかし2020年は10月にiPhoneを発表したため、異なるパターンとなった。

 その不利な条件の中でも、iPhoneの販売台数が0.6%減にしかならなかった点に、むしろ注目すべきだ。Appleは2020年に入って、300ドル台の低価格モデル、iPhone SEを投入した。確かにこのモデルも好調ではあるが、牽引していたのはiPhone SEだけではなさそうだ。

 Appleは販売台数の内訳を明らかにはしないが、決算では同時期のiPhoneの売上高を、264億4400万ドルと報告していた。Gartnerのレポートにある販売台数4060万台で単純に割り算した1台あたりの販売価格は、651ドルとなっており、必ずしもiPhone SEの比重が大幅に伸びていたわけではないことがわかる。

 問題は次、2021年第1四半期(10〜12月)の決算だ。AppleはiPhone 12として4モデルを投入しており、たとえば日本市場での速報値を取材すると、iPhone 12とiPhone 12 Proが同数売れており、iPhone 12 Pro Maxも2019年のiPhone 11 Pro Maxの倍のスピードで売れているという。意外にも、日本で人気を博しそうだったiPhone 12 miniより、大型モデルの台数が伸びているのだ。

 iPhone販売の山がすべて含まれる2020年末までの決算は大いに期待できる。加えて、M1 Macも販売を伸ばしていくことを考えると、売上高として過去最高を記録することになるかもしれない。

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Macに振られたIntelチップの問題

 Appleは11月17日から、MacBook Air、MacBook Pro 13インチ(下位モデル)、Mac mini(下位モデル)の自社設計のM1チップ搭載モデル販売を開始した。M1を搭載した各モデルは、数十%ではなく数倍の性能を手に入れ、また驚くほど長いバッテリーライフを実現する、全く異なる世代へと足を踏み入れた製品となった。

 引き続きIntelチップ搭載Macは販売されているが、エントリーモデルやモバイルであればあるほど、圧倒的なM1チップの実力に、Intelモデルでの買い換えをためらわざるをえない。

 ただ、Appleがすぐに、すべてのMacを自社設計チップに置き換えられるわけではない。たとえばiMacやiMac Pro、Mac Proといったデスクトップ製品はM1が登場しても、Intelがすべての用途において、性能面で遅れを取ったわけではないのだ。

 IntelにおけるAppleの売上比率はわずか4〜5%にすぎない。もちろんAppleというブランドを失う点は痛手かもしれないが、すぐに会社が傾くような話でもないのだ。Intelは競争を歓迎し、同社の強みを生かしながら、優れたチップ開発に注力していくとしている。

 実際、IntelのWindowsでしか動作しない環境は(特に日本には)数多く残されており、コンピュータ産業を支える意味での役割も大きい。しかしM1搭載Macの登場とその評判の良さは、間接的にIntelの首を絞めるかもしれない。Apple以外の競合が、新たな戦略に打って出る可能性が高まるからだ。

 Qualcommはスマートフォン向けチップメーカー、モデムメーカーとして有名だが、Windowsが動くノートPCも作っている。しかしあまり目立った勢力となっていないのが現状だ。QualcommがAppleの様子を見て、超軽量モバイルPCのような領域で、Intelの顧客を奪おうとするかもしれない。

 またAMDは、既に顕在化しているIntelの脅威だ。Intelと同じx86プラットホームを備えながら、Appleと同じように微細化に長けた製造技術を持つTSMCで製造を行っており、ハイエンド領域でも小型化、省電力化、高速化を実現している。

 今後Appleは、ハイエンドノート向け、デスクトップ向け、ワークステーション向けに、自社設計のチップを投入していくことになるが、その移行期間は2年。Intelにとっては、この猶予期間に、どんな製品を投入していくのか注目だ。

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