積水ハウス、施工現場でごみゼロ実現--環境先進企業が見せる本気の取り組み方

 積水ハウスでは、茨城県古河市に「エコ・ファースト パーク」を設けている。施設内には資源循環センターである「資源の泉」のほか、地球温暖化対策を施した「風の家」「あしたの家」「木の家」を設置。住まいと環境が学べる場になっている。

 写真は資源の泉。積水ハウスでは新築施工現場におけるゼロエミッションを実現しており、現場の段階で廃棄物を27種類に分類。センター内でさらに80品目に分別し、100%リサイクルを実現している。現場における分類を実践するのはかなり難しかったというが、同じ施工業者に現場を依頼することによって意識改革を続け、現在の形を実現したという。

 廃棄物はすべて袋に入って運搬されており、1つずつQRコードをつけることで、現場や中身、責任者名などがわかる仕組みだ。エコ・ファースト パークの資源循環センターには1都7県分の廃棄物が運ばれてきており、積水ハウスでは全国13カ所に同様のセンターを展開している。
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 積水ハウスでは、茨城県古河市に「エコ・ファースト パーク」を設けている。施設内には資源循環センターである「資源の泉」のほか、地球温暖化対策を施した「風の家」「あしたの家」「木の家」を設置。住まいと環境が学べる場になっている。

 写真は資源の泉。積水ハウスでは新築施工現場におけるゼロエミッションを実現しており、現場の段階で廃棄物を27種類に分類。センター内でさらに80品目に分別し、100%リサイクルを実現している。現場における分類を実践するのはかなり難しかったというが、同じ施工業者に現場を依頼することによって意識改革を続け、現在の形を実現したという。

 廃棄物はすべて袋に入って運搬されており、1つずつQRコードをつけることで、現場や中身、責任者名などがわかる仕組みだ。エコ・ファースト パークの資源循環センターには1都7県分の廃棄物が運ばれてきており、積水ハウスでは全国13カ所に同様のセンターを展開している。

 積水ハウスが、施工現場や工場で、ごみゼロを実現するなど徹底した環境への取り組みを公開した。11月15日、「『積水ハウス エコ・ファーストパーク』4周年 気候危機を考える環境シンポジウム&施設見学」を実施。環境を考えた施工現場、工場、リサイクルの現状などを紹介するとともに、環境先進企業として推進する温暖化対策などについて話した。

 積水ハウスは、1999年に「環境未来宣言」、2005年に「サステナブル宣言」を掲げ、資源循環や日本の在来種にこだわり、地域の気候に合わせて樹木を植える庭づくり「5本の樹」など、環境活動を推進。2008年には業界初の「エコ・ファースト企業」に認定されている。

 2009年には「CO2 50%以上削減モデル」の販売を開始。2013年にはゼロエネルギー住宅を手掛けるなど、2050年の「脱炭素」に向けた活動も積極的だ。最近では、戸建てにとどまらず、賃貸やマンションのZEHを進めており、2018年1月には、全住戸ZEH賃貸住宅「シャーメゾン ZEH21」を石川県金沢市に、2019年2月には全住戸ZEHマンション「グランメゾン覚王山菊坂町」を愛知県名古屋市に建設した。

 積水ハウス 常務執行役員環境推進担当の石田建一氏は「私たちの事業は戸建てだけではない。マンションや賃貸住宅など、事業全体をゼロエネルギー住宅にするのが目標。戸建ての市場はできた。次は賃貸に取り組む」と意欲を見せる。

積水ハウス 常務執行役員環境推進担当の石田建一氏
積水ハウス 常務執行役員環境推進担当の石田建一氏

 昨今の自然災害においては「最大雨量や風速の設計値を変更し、台風対策を施している。ただ、今後は洪水リスクを考えないといけない」と次なる取り組みを掲げる。夏に急増する自宅での熱中症については「喫緊の課題。熱中症は高齢者に多く、その理由の一つがエアコンの使用を我慢してしまうため。賃貸でも太陽光発電をつけることで、エアコンを使えるようにしたい」とした。

 石田氏は「積水ハウスの環境戦略の特徴は事業戦略と一致していること。2009年にグリーンファーストを開始したがその結果、平均単価は2割増し、お客様満足度も10%上がった。環境に重要なことは、事業にも有効だということが継続できる理由」と戦略を明かした。

先進企業3社が考える事業と環境のバランス

 シンポジウムでは、環境先進企業である戸田建設 価値創造推進室副室長の樋口正一郎氏とライオン CSV推進部長の小笠原俊史氏を迎え、パネルディスカッションも開かれた。モデレーターはWWFジャパン専門ディレクターの小西雅子氏が務めた。

戸田建設 価値創造推進室副室長の樋口正一郎氏(左)とライオンCSV推進部長の小笠原俊史氏(中央)を迎え、パネルディスカッションも実施した
戸田建設 価値創造推進室副室長の樋口正一郎氏(左)とライオンCSV推進部長の小笠原俊史氏(中央)を迎え、パネルディスカッションも実施した

 戸田建設は2010年にエコ・ファースト企業に認定。事業活動で使用する電力を2040年までに50%、2050年までに100%再エネ電力にすることをRE100目標として掲げている。ライオンは、1960年代に世界で初めて生分解性構造の洗浄成分AOSの工業化に成功したことをはじめ、リンに替わる洗浄助剤を配合した無リン洗剤の開発など、エコな洗剤の開発に取り組んでおり「エコへの取り組みはライオンのDNA」とする。

 小西氏が「なぜ環境活動への取り組みが早くできたのか」と聞くと、石田氏は「正しく未来を予測して人より早くやるということ。どうせやらなくてはいけないのであれば、率先してやっていこうと思っている。それが企業評価につながる。ただ、環境面だけよくて売上がついてこないのではだめ。例えばCO2の排出権を買ってくることもできるが、それでは事業が苦しくなったときにやめられてしまう。ZEH事業であれば、事業が悪くなってもっと販売に力を入れろということになる。環境と事業を一体化することで環境貢献も社会貢献もできる」と、理由を話した。

 樋口氏は「社内を説得するのは大変だった。しかし2010年にエコ・ファースト企業の認定を受けたところから社内の雰囲気が変わった。社内議論を繰り返し、説得は地道にやり続けた。時間をかけ、財務リスクも含めた上で説明している」と経験談を披露した。

 2050年までに事業所活動におけるCO2排出量ゼロを目指すことを含めた「LION Eco Challenge 2050」を発表したライオンは、ここに至るまでの経緯を「何度も経営と話し合いをしながら進めた。その中には心痛めたり、バトルをしたこともあった」と小笠原氏が説明。「植物原料を使った環境向けの洗剤を四半世紀前に発売したが、売れなかった。ただこの25年間に社会の目も変わり、選択基準も変わった。それを受け前に進んだ」とし、現在発売中の洗剤「スーパーNANOX」は植物由来の洗浄成分を使っているとした。

 パネルディスカッションのテーマは「1.5度目標達成に向けた企業の取り組み」。気温上昇を2度ではなく、1.5度に抑えるための取り組みについては、石田氏は「すでにZEHが85%になっており、開発費はあまりかからない。工場転換の必要もなく、移行リスクはないと思っている。マーケットにあわせていくかが重要」とコメント。小笠原氏も「お客様にとっての価値を事業の根幹にして、お客様が使うと自然とエコになる設計が必要」と話した。

パネルディスカッション風景
パネルディスカッション風景

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