2カ月寝たきりで約200万円--独航空宇宙センターが無重力状態の実験で参加者を募集

Leslie Katz (CNET News) 翻訳校正: 編集部2019年04月04日 12時05分

 ベッドでくつろぐのが好きな人にとって、理想の仕事になるかもしれない実験が行われる。2カ月ベッドで寝たきりでいれば、1万6500ユーロ(約200万円)の報酬がもらえるというものだ。2カ月あれば、Netflixを存分に楽しめそうだ。

 この長期にわたるベッドでの休息は、3月下旬に始まった、人体への無重力状態の影響に関する実験の一環だ。米航空宇宙局(NASA)と欧州宇宙機関(ESA)が資金を提供し、ドイツのケルンにあるドイツ航空宇宙センター(DLR)で行われている。フェーズ2は9月~12月の予定だ。

DLR
一部の実験参加者は、人工重力を発生させる人間用短腕遠心機で回される
提供:DLR

 「われわれは、宇宙と地球で人間がいかに健康と身体能力を維持するかに関心を持っている。特に宇宙での無重力状態などの極限状況では、健康や能力の維持が困難だ」と、DLRはプロジェクト用サイトで述べている。宇宙飛行士が宇宙や月、火星で長期間過ごす場合、骨と筋肉の萎縮防止に効果的な科学的処置が必要になる。

 DLRによる実験「AGBRESA(Artificial Gravity Bed Rest Study)」では、参加者となる12人の男性と12人の女性が60日間にわたって、6度の傾斜によって脚が頭より高くなるベッドで昼夜を過ごすことになる。また、参加者らは片方の肩が常にマットレスに触れている状態を保たなければならない。この体勢をとることにより、宇宙飛行士が宇宙で経験するように、四肢への血流が減少するという。

DLR
実験参加者は傾斜角6度で頭が下向きになるベッドに横たわり、実験で要求されない限り立ち上がれない
提供:DLR

 宇宙飛行士らが徹底的な運動療法を行い、身体機能が衰えないようにする一方で、この実験ではいわゆる短腕遠心機が初めて使われ、四肢への血流を戻すために人工重力を発生させるという。

 遠心機で回されることになるのは一部の実験参加者のみで、被験者の体のサイズに合わせて機械が調整される。

DLR
ディスプレイも提供される
提供:DLR

 この実験はDLRの医療研究施設「envihab」で行われる。environment(環境)とhabitat(居住地)の造語であるenvihabは、この遠心分離機の他に、酸素減少と血圧低下の影響を調べるための実験室、MRI/PET解析施設、心理的ストレスのシミュレーションルームやリハビリルーム、そして微生物学と分子生物学用研究ツールを有している。

 1万6500ユーロの報酬に加えて、DLRは実験参加による他の利益も得られるとしている。参加者は自分の鍛錬と忍耐力を友人や会社にアピールできるとDLRは述べている。また、くつろぐ時間が十分にあるので、日々の面倒な作業のために断念しなければならなかった読書やストリーミングの番組を楽しむことができる。

 しかし誰もが応募できるわけではない。現在の応募条件は、24~55歳の健康な非喫煙者の女性、身長は153~190cm、BMIは19~30、ドイツ語が堪能であることとなっている。被験者は60日間をベッドで寝て過ごした後、さらに29日間でストレッチやマッサージ、理学療法を含む管理下でのリハビリを行うことになる。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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