美少女ゲーム業界の敏腕キュレーターが語る--クラウドファンディング国内最高1.3億円超えの舞台裏

 国内クラウドファンディングプラットフォームにおいて、過去最高となる1億3230万2525円の資金調達。ニッチな市場とされる美少女ゲーム業界で起きた出来事だ。

 美少女ゲームブランド「OVERDRIVE」が、最終作となる「MUSICA!」開発プロジェクトを、クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」において7月に掲載。目標金額の3969万6000円を開始30分でサクセスしたうえ、24時間で約7000万円に。10月10日にはCAMPFIREとして初めてとなる1億円を超えた。そして10月17日にプロジェクトを終了し、最終的には国内過去最高を記録するまでに至った。

CAMPFIRE内プロジェクトページより
CAMPFIRE内プロジェクトページより

 起案者でありOVERDRIVEの代表を務めるbamboo氏について、筆者は5年前にインタビューを行っている。当時は国内のクラウドファンディングプラットフォームが立ち上がり始めた時期であり、1000万円を超えるプロジェクトがまだ数例程度という市場環境のなか、ライブイベントの映像化プロジェクトで986万円、プレオーダーによるゲーム「グリーングリーン」のリメイクで2700万円を調達。国内クラウドファンディングの黎明期において、活用方法を見出しつつある状態だった。

美少女ゲーム業界が生んだクラウドファンディングの価値--「CAMPFIRE」で過去最高の調達(2013年8月9日掲載)

 その後bamboo氏は、自社だけではなく他社の案件も扱うキュレーターとして活動したうえ、2016年9月にはCAMPFIREの顧問に就任。バンド「クラムボン」のライブ映像化プロジェクト「クラムボン×岩井俊二『日比谷野外音楽堂ライブ』映像化大作戦」や、声優、歌手として活躍している緒方恵美さんのデビュー25周年記念CDを世界中に届ける「【緒方恵美、声優デビュー25周年記念企画】国内&海外、同時に正規CDを届けたい」、直近ではゲーム「センチメンタルグラフティ」のキャスト陣によるイベント「『センチメンタルグラフティ20周年スペシャルイベント~再会~』開催プロジェクト」(以下、センチ20周年プロジェクト)などをはじめ、エンタメ系の案件を中心に大小さまざまなプロジェクトを手掛け続けた。

 そして積み上げた実績は案件数50以上で、累計調達金額は約4億7000万円。8桁の調達金額になったプロジェクトも少なくない上、直接手掛けたプロジェクトの成功率は100%。国内屈指のキュレーターのひとりでもある。

 そんなbamboo氏に、5年ぶりの単独インタビューを実施。クラウドファンディングにおける活動やエピソード、起案者として取り組むにあたって必要なもの、クラウドファンディングの現状や感じていることを聞いた。

 ちなみにbamboo氏はOVERDRIVE代表、CAMPFIRE顧問のほか、レコーディングスタジオやアパレルグッズ制作を手がける「STUDIO696」の代表、テレビアニメ「有頂天家族」「有頂天家族2」の主題歌を手掛け、25年以上活動を続けているバンド「milktub」のフロントマン(ボーカルなど)を務める、現役ロックシンガーとしての顔も持つ。

bamboo氏
bamboo氏

ーー5年前にインタビューしたとき、「多方面で活動していますが、ひとつに絞ろうと考えたことはありますか」という質問をして「ひとつだけ専念するというのは考えていない」と答えていました。月日が流れてキュレーター、そしてCAMPFIREの顧問に就任して、活動の幅を広げていますし、肩書も増えています。

 肩書を一言で示すものがないですから、何と説明すればいいかわからないですね(笑)。クラウドファンディングにおいて顧問はともかく、日本一という肩書がついたのも、素直にうれしいです。日本一なんて(位置情報ゲームの)「Ingress」で、とあるメダルを国内最速で集めたということはありますけど、お金が関わることでは初めてですから。

ーーbambooさんは、Ingressの熱心なエージェント(プレーヤー)とも伺ってます。

 そうですね。熱心にプレイしていたら交友も広まりましたし、関係者ともお話するようになってから関わることにもなって……。おかげさまでテレビアニメの「イングレス」にも曲が使われることになって(※第4話でmilktubの「俺たちレジスタンス」が劇中曲に使われている)、さらに最近リリースされた「Ingress Prime」でも、STUDIO696で日本語音声のコーディネイトや収録協力で少し関わったりしています。好きと言っていたらこういうことにもなるんだな……と思っています。

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