ビル・ゲイツ氏の財団とスポーツ庁がパートナーシップ締結--“持続可能”な東京五輪を

 スポーツ庁とビル&メリンダ・ゲイツ財団は11月9日、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会にあわせ、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)」において、スポーツで社会課題に取り組む「スポーツ SDGs」の一環としてパートナーシップを締結。それを具体的に展開するプロジェクト「Our Global Goals」を発表した。

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(左から)ラグビー・ワールド・カップ2019事務総長の嶋津良智氏、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の森喜朗氏、文部科学副大臣の浮島とも子氏、ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同議長のビル・ゲイツ氏、元マラソンランナーの有森裕子氏、兵庫県知事で2025日本万国博覧会誘致委員会副会長の井戸敏三氏

 同プロジェクトでは、SDGsを達成を目指すアンバサダーとして、国内外のアスリートの呼びかけ。スポーツの力を活用し、SDGsの達成と東京2020大会のレガシー創出をもくろむ。国連が目指すSDGsは、2030年までに極度の貧困に終止符を打ち、不平等や不公正の撤廃、気候変動に対抗するといった目標を指す。

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、SDGs実現に向け、持続可能性に配慮した運営計画の実施に取り組むとしている。使用済み携帯電話などの小型家電からメダルを製作する「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」もその一環だという。

 ゲイツ財団では、Our Global GoalsアンバサダーがNGOと連携して実施するさまざまなプログラムに対して、資金と専門知識を提供。貧困の撲滅、飢餓ゼロへの挑戦、健康と福祉の向上、質の高い教育の提供、ジェンダーの平等の実現、安全な水とトイレという6つのSDGsに焦点を当てた現地訪問やワークショップを実施する。

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ビル&メリンダ・ゲイツ財団の共同議長であるビル・ゲイツ氏

 同財団がオリンピック・パラリンピックに参画するのは今回が初となる。来日したビル&メリンダ・ゲイツ財団 共同議長のビル・ゲイツ氏は、「私の座右の書の一つが『Moonwalking with Einstein』。なぜランナーが記録を縮め続けられるかを説明している本だが、心理的な影響が理由の一つとしている。1マイル4分の壁は誰も破っていなかったが、ロジャー・バニスターがそれを達成するとわずか6週間後には別の選手が達成した」とし、「すべての子供たちが健康的な生活を送れること、あらゆる場所での貧困撲滅は1マイル4分の壁と同じように達成不可能と思われていたが、ここ数年、日本などの国々が不可能ではないと示すようになった」とコメント。

 「日本は、マラリア・結核・HIVと戦うため、グローバルファンドの創設を支援しており、ワクチンと予防接種の世界同盟にも参加している。こうした取り組みが効果を見せている。私が子供のころは半数が極貧生活を送っていたが、今では10%以下。5歳未満の死亡率も1990年は1100万人だったが、2017年は500万人まで減っている」と評価。一方で、「日本は、世界の医療の援助予算として3~5%を割いているが、さらに拡大するチャンスがある。今回のようなパートナーシップも増やす必要がある。東京オリンピック・パラリンピックが近づき、世界の目が日本に集まってくる。これを機に皆さんが啓蒙活動を行い、より良い世界のアンバサダーになることを喜ばしく思う」と日本のさらなる活動の支援を求めた。

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