AIと機械学習の活用が顕著に--マイクロソフトの学生ITコンテスト「Imagine Cup 2018」

Mary Branscombe (Special to ZDNET.com) 翻訳校正: 川村インターナショナル2018年09月03日 07時30分

 Microsoftが毎年開催している学生向けITコンテスト「Imagine Cup」は、商用アプリを支援するアクセラレーターイベントと間違われやすい。科学コンテストとも、まして24時間続けられるハッカソンプロジェクトとも違う。毎年たいてい、プロフェッショナルに近い人材が集って試作品を披露し、世界大会進出者の多くは、投資家や政府各省庁、大学などから注目されてプロジェクトの継続を期待される。

 これは、決勝戦まで進んだ3チームに限ったことではない。決勝に残れば、投資家やパートナー企業、医療施設、各省庁からすぐに勧誘の声がかかるが、世界各地の予選を勝ち抜いて世界大会に進出した49チームの多くも同様だ。そんなプロジェクトのひとつ「Hachy」は、スマートフォンのカメラと「Azure」のカスタム画像認識サービスを利用して、何十万円もする分光計を使うことなく、ニワトリの受精卵が孵化する過程をチェックする。中国のDairy Association of China(中国酪農協会)が、このアプリを使いたい意向を示している。

 「Boomerang」は、「Azure IoT」とWi-Fiを使って喘息用の吸入器にジオタグを付け、喘息患者(またはその親)が吸入器を最後にどこに置いたか確認できるようにするプロジェクトだ。ジョンズ・ホプキンズ大学で、200人の患者を対象に12カ月間の調査を実施し、臨床結果を検証した(吸入器が見つかれば、使用頻度が増える)。

 「Drugsafe」は、光学式文字認識(OCR)と機械学習を利用して、医薬品の包装が偽造かどうかを判定する(インドでは、医薬品の約40%が偽造と言われている)。このチームは、どの包装が偽造しやすいかを示す「Power BI」のダッシュボードを利用できるようにするために、医薬品会社と話を進めている。

 ezaki-labチームによる「EFFECT」は、機械学習をベースにして魚の給餌システムを自動化するプロジェクトで、9カ月にわたって養魚場で運用され、すでに余分な餌のコスト3000ドル(約33万円)近くを削減することに成功している。さまざまな要因を考慮して適切に給餌するようにしたのだ。

 「Adam ROBO」は、「Node」、「Python」、「Azure Cosmos DB」を利用して作られた自動視力検査システムで、すでにブラジルの100都市で使われている。チームは特許を取得しており、大学や複数の医療機関から注目されているほか、世界保健機関(WHO)も、患者データを使って、例えば高レベルの紫外線が眼の健康に及ぼす影響などを調べたいと申し出ている。

 Pengramチームが開発したのは、技術者が扱っている機器に3D CADモデルを重ねるリモート支援システムだ。「HoloLens」のような拡張現実(AR)ヘッドセットを使い、遠隔地で仮想現実(VR)ヘッドセットを装着して対応する専門家と組むことで機能する。このチームはすでに、電力網の評価に利用したいとするFortune 100企業や、教育市場での提供を検討しているHTCと協力態勢をとっている。

 Vinculumチームは、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と協力し、家族写真の顔認識を利用して、離散した難民家族が再会できるよう支援する。

 英国から出場したチームによる「InterviewBot」は、動画による面接でフィードバック(履歴書に載っているキーフレーズを口にしたか、あるいは何回「えーと」と口ごもったかなど)を返して、実際の面接への対策をサポートする。チームはすでに大学の就職課に売り込んでいるほか、LinkedInにも打診しているところだ。

InterviewBot
InterviewBot
提供:Microsoft/InterviewBot

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