FRONTEOヘルスケア、AIを活用した「転倒転落予測システム(仮称)」実証実験版

 人工知能による医療・介護などの情報解析ソリューションを提供するFRONTEOヘルスケアは8月8日、「転倒転落予測システム」(仮称)の実証実験版の完成を発表した。

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 同システムは、ヘルスケア・インダストリー向けに開発した人工知能「Concept Encoder(コンセプトエンコーダー)」に入院患者の転倒転落のリスクを算出するモジュールを組み込んだアプリケーション。

 同社によると、患者の転倒転落事象の低減が医療機関の喫緊の課題となっているという。国際的にも、JCI(Joint Commission International:国際病院評価機構)において「転倒転落により患者が負傷するリスクの減少」が6大重点項目のひとつとされている。

 転倒転落リスクの予測は、通常はMorse Fall ScaleやSTRATIFYなどのアセスメントツールによるリスク評価など、既存の指標に基づいて行われる。これは、リスクの高い患者のスコアを算定して看護に役立てるものだが、電子カルテの看護記録の入力に加え、評価や記録業務に時間が取られるため、日常の看護業務を圧迫している。また、センサなどの物理的な対策や人手による改善策にも限界がでてきているのが現状だという。

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 実証実験版として完成させた同システムは、このような医療現場の負荷を軽減し、看護師が本来の患者のケアにより多くの時間を割けるようになることを念頭に開発。電子カルテ内の看護記録をConcept Encoderで解析し、転倒転落リスクを算出。従来のアセスメントツールのスコアと比較し、予測精度や評価軸の改良を重ねた結果、「評価者の主観が入らない(属人性の排除)」「日々の看護記録を入力するだけで患者のリスクレベルを共有してチームで見守ることができる(入力データの最大活用)」など、Concept Encoderの特徴「客観性」「透明性」「再現性」を体現するシステムになっているという。

 3月に実証実験版が完成し、6月に第三者検証を完了。医療機関での実証実験を本格的に行う準備が整った。今後は、複数の医療機関の協力を得て、日々蓄積される院内の看護データをもとにリスクを算出して精度検証。本格導入版の早期完成を目指す。

 また、変化するリスクレベルを時間の推移で確認できるグラフ表示をはじめ、院内システムとの連携を強化し、職責(スタッフ看護師、主任看護師、看護師長、医療安全管理室、経営幹部)別に画面の表示項目を調整するなど、医療現場のニーズを確認しながら開発を進めるという。

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