スマートフォンネイティブが見ている世界

「フォロ爆」にみる高校生のフォロワー数至上主義の危うさ

 「フォロ爆」というTwitter用語をご存知だろうか。フォロー爆撃の略であり、複数のアカウントでまとめてフォローしてフォロワー数を水増しする行為をさす。2014年ごろから登場した用語で、現在でも高校生たちの間で頻繁に使われている。「フォロワーが多い方がすごいと思ってもらえるから」と高校生たちはフォロワーが多い意義を強調する。

 似たような言葉に、「リプ爆」「ふぁぼ爆」というものがある。リプ爆、つまりリプライ爆撃は、大量のリプライを送りつけてTwitterのリプライ欄を使い物にならなくすることをさす。ふぁぼ爆はいいね(フェイバリット)爆撃を意味し、大量のいいねを送りつけて大量の通知にうんざりさせるなど、どちらも元々嫌がらせ行為だった。LINEのスタンプを多数送りつける「スタ爆」も似たような使われ方をすることがある。

 ところが、最近ふぁぼ爆は、特定のツイートを人気に見せたいユーザーにむしろ使われているようだ。フォロ爆と同様、他人からどう見られるかが重要となっているのだ。高校生におけるフォロ爆の実態と背景にある心理について見ていきたい。

フォロー・リツイートを求める「無償フォロ爆」

 フォロ爆にもいろいろな種類がある。よく募集されているのが、「#無償フォロ爆」と「#相互フォロ爆」。それぞれ無料でフォロ爆をすること、相互でフォロ爆をすることの意だ。その反対が「有償フォロ爆」。こちらはアカウントのフォローが有料となり、フォロー数によって料金が決まっている。

 フォロ爆のやり方は複数ある。「The World」などのクライアントや自動でフォロ爆できるツールなどを使うと効率よくできるという。フォロ爆ツールを売っているアカウントもあるので、それだけニーズがあるのだろう。YouTubeでもクライアントなどを使ったフォロ爆のやり方動画が複数公開されている。しかし、後述するように自動でアカウントを作成するとTwitterの規約違反によりアカウント凍結となるリスクがあるため、手動で1日数個ずつ作っていくケースも多いようだ。

 特に興味深いのが、「#無償フォロ爆」だ。こちらはお金を支払わなくていい代わりに、やらねばならないことがたくさんあるのがポイントとなる。

 「フォロ爆垢52で撃ちます。(1)この垢をフォローする (2)このツイートと固定ツイートをリツイートお願いします。#無償フォロ爆」

 「無償フォロ爆します。(1)このツイートをリツイートしてください。(2)この垢をフォローすること。(3)僕のYouTubeチャンネルを登録してください。まとめて打つので遅くなります。#無償フォロ爆」

 などが典型的なパターンだ。

 

典型的な「#無償フォロ爆」ツイート

 「リムった場合、全垢でリムらせていただきます」という注意書きがついていることが多い。つまり、「無償フォロ爆」は自分のアカウントのフォロワーを増やすことが目的なのだ。

 「フォロ爆をするとフォロワーに喜ばれるので、より一層フォロワーに好かれるようになる。アルファツイッタラー(アルファブロガーが由来。フォロワーが多く発言力に影響力があるTwitterユーザーの意)になるのも夢じゃない」というコメントも見かけた。フォロワーが増えることは多くの高校生たちの願いとなっているのだ。

フォロ爆用アカウントが1万?

 フォロ爆用のアカウント数はいくつくらいあるものなのだろうか。対面した高校生にヒアリングしたところでは、10〜50個前後手動で作ったアカウントを持っているというケースが多かった。

 しかし、中にはツールなどを使って驚くような数のフォロ爆用アカウントを用意しているユーザーもいる。ある高校生は、「垢数591」だった。フォロ爆した相手にフォローを求めるメインアカウント、つまり本垢を見ると、フォロー数もフォロワー数も8000以上であり確かに普通の高校生としてはとても多かった。

 しかし、ツイートは「1時をお知らせします」「2時をお知らせします」などひたすら時間をツイートしているだけ。あとは、フォロワー増のためのツイートしかしていない。フォロワーを見るとほとんどが相互フォロ爆で増やしたことが明らかな同名アカウントばかりであり、かなりの部分が水増しであることがわかる。伝えたいこともなくフォロワーも見せかけだけの数字だけで、一体どんな意味があるのだろうか。

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