Apple TVがアプリに託すテレビの未来

 第4世代目となるAppleのテレビ向けセットトップボックス、Apple TV。筆者はこれまで米国で、2011年に購入した第2世代のApple TVを利用してきた。これとの比較とともに、新型Apple TVが提案する「テレビの未来」について考えたい。

Apple TV、進化のポイント

 第4世代となるApple TVは、ハードウェア、ソフトウェアの面で大幅な進化を遂げた。デバイスは黒く塗られており、98mm四方はこれまでのApple TVと共通だ。しかし高さは、第3世代の23mmから35mmと高くなった。


Apple TV

 プロセッサはこれまでのA5からA8へと改められた。最大解像度が1920×1080ピクセルのフルHDであることから、パフォーマンスとしてはiPhone 6 Plusをイメージすると分かりやすいのではないだろうか。

 ワイヤレスはMIMO対応802.11acをサポートし、Bluetooth 4.0もサポートされた。後述するSiri RemoteはBluetooth接続となったが、赤外線ポートも搭載しており、これまでのApple TVで利用してきたApple Remoteも利用できる。本体には電源端子の他に、HDMI1.4、USB-C(サポート・サービス用)、Ethernetポートが用意されている。


Apple TVの端子群。USB-Cはサービス・サポート用として用意されている

 ソフトウェア面では、iOSをベースとしたtvOSを搭載されている。最大のポイントはApp Storeが搭載された点だ。これまでApple TVにはユーザーが自由にアプリを追加することはできず、国の設定よって対応するアプリを出し分ける仕組みになっていた。ユーザーはApp Storeから、その国で配信されているApple TV向けアプリを自由に追加・購入できる。

 そのアプリを保存しておくためのストレージも用意されており、32GBと64GBの2種類がある。tvOSのアプリで、映像系は基本的にストリーミングでの対応となるため、それほど容量を必要としないが、3Dを駆使した複雑なゲームになってくると、32GBではやや不安に感じるかもしれない。

 また、Apple MusicやiCloudフォトライブラリなど、Appleのクラウドサービスをサポートしている。

セットアップの簡便化と便利な進化

 セットアップで面白かったのはiPhoneを利用する点だった。

 ほかのiOSデバイスと同様に、Apple IDを入力してセットアップを進めていくことになる。Siri Remoteに改められたとはいえ、カーソルキーだけでの文字入力は骨が折れる作業だ。その負担を少しでも軽減しようと、新しいセットアップ方法が用意された。

 Apple TVにiPhoneを近づけると、iPhoneに設定されているApple ID、iTunesアカウントやWi-Fiを自動的に読み取ってくれて、すぐにApp Storeが使える状態にまで設定を進められる。セキュリティの関係上、アプリを初めて買う際にはiTunesアカウントのパスワードを入力する必要があるが、拍子抜けするほど簡単に使い始められるはずだ。


Apple TVのセットアップは、iPhoneを近づけるだけ。Apple ID、Wi-Fi設定など、入力が面倒な項目を自動的に読み取って設定を進めてくれる

 tvOSになって、「これはiPhoneのiOSにもフィードバックして欲しい」と感じた機能は、iTunesアカウント切り替えの対応だ。

 筆者の場合、日本と米国それぞれのiTunesアカウントを持っている。例えば米国の銀行アプリや米国のケーブルチャンネルのアプリなどは、米国のApp Storeでしか配信されていないため、日本で使っていたアカウントだけでは不便だからだ。

 App Storeは国をまたいで検索できないため、いちいちその国のアカウントにログインし直さなければならなかった。iPhoneですらアカウントのログアウト、ログインの操作は面倒なところ、Apple TVのリモコンでのメールアドレスとパスワードの入力は苦労でしかなかった。

 tvOSではここが改善され、一度ログインしたiTunesアカウントを保存しておけるようになった。「設定」アプリから切り替える必要こそあるが、アカウントを選択するだけで切り替えられる点は、前述の面倒や苦労を一気に解決してくれた。

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