「iPad Pro」先行レビュー--自然に使えるApple Pencil、従来のiPadと異なる点とは?

 アップルは11月11日、12.9インチまで大型化したディスプレイを持つ新端末「iPad Pro」の発売を開始した。この記事では発表時のデモやスペック、ウェブページなどから判別できる情報は省略し、あくまでも実機を使った上でのインプレッションに絞って、その印象をお伝えしたい。

 なお、既存のiPadシリーズと同様、搭載フラッシュメモリ容量の違いとLTE通信機能の有無によるバリエーションがあり、最廉価の32GバイトのWi-Fiモデルは9万4800円(税別)、LTE通信機能を搭載するWi-Fi + Cellularモデルは128Gバイトで12万8800円(税別)となっている。カラーはシルバー、ゴールド、スペースグレーの3色だ。

使用した「iPad Pro」Wi-Fi + Cellularモデル
使用した「iPad Pro」Wi-Fi + Cellularモデル

使い始めの第一印象は?--MacBook Airよりも応答性に優れるiPad Pro

 いろいろな人からいただく質問に対し、”ハードウェア自身は”と限定した上で「高性能で画面の大きいiPad」だと説明している。

 他のiPadシリーズと同じ基本ソフト(iOS)が動作し、機能面でもほぼ等価。画面を2分割して同時に表示しながら使えるWindows 8の”スナップ”とそっくりの追加機能があるが、これは最新世代のiPad Air、iPad miniでも利用できる。

 搭載されたA9Xの詳細なスペックは明かされていないが、iPad Air 2に対してCPUが1.5倍、GPU(グラフィックプロセッサ)が2倍の性能を持ち、過去1年間に発売されたモバイルコンピュータの8割よりも高速、とアナウンスされているが、アップルの製品で言えばIntel Core Mプロセッサを搭載するMacBookよりも、かなり快適に使えている。

 応答性などで言えば、MacBook Airなどのパソコンを使っているのと体感的な差はないどころか(処理速度はともかく)応答性はiPad Proの方がいいぐらいだ。

 高速化したGPUをふんだんに活用したアップル純正アプリ(たとえば動画編集アプリのiMovieなど)のパフォーマンスは、Macを使っている時よりも上と感じることすらある。iPad ProとiMovieの組み合わせでは、4K映像をふたつ組み合わせてレイアウトしながら、別の4K映像へとトランジションするといった映像効果を、その場で遅延なく見せるといったこともこなす。

12.9インチの大画面を持つ「iPad Pro」
12.9インチの大画面を持つ「iPad Pro」

 560万に及ぶ画素が並ぶRetina Displayは視差が小さく、色再現性やトーンカーブも適切で過度に派手な色を見せたりせず、誠実に映像を描写していた。部屋の明かりを少し落とし気味にして映画を観れば、かなり細かく絵作りをしていることがわかる。派手ではないが誠実な作りだ。

iPad Proは「iPad Air XL」か?

 画素密度はiPad Airシリーズと同じであり、そのまま画面を大きくしたと考えていいだろう。縦横比は変わらず4対3。4対3という縦横比を採用するスクリーンは近年少ないため想像しにくいが、筆者が執筆に使っている15インチ版MacBook Proの画面の高さが、iPad Proの短辺方向とかなり近いサイズであると言えば、その大きさが理解できるだろうか。このため、横画面で使った際の大きさは、16対9の13インチノートパソコンよりも大きく感じる。

 これだけの大きさを持ちながら、iPad ProはWi-Fi版で713g、LTE通信機能付きで723gとなっており、9.7インチ液晶搭載の初代Wi-Fi+3Gモデル(730g)よりも軽量に仕上がっているのだから、”軽い”と評価していいだろう。なお、後述のSmart Keyboardは実測で340gだった。

 このほか、前述のプロセッサ周り、それに搭載メモリ量(4Gバイト)が多いこと、それに気圧センサ搭載を除けばiPad Air 2と同等のスペックだ。バッテリ持続時間も従来のiPadシリーズとほぼ同等と考えておけば間違いない。

いい音で楽しめる映像や音楽--音圧は従来比2倍、四隅に配置されたスピーカユニット

 驚いたのは四隅に配置されたスピーカユニットで、大画面化でスピーカの容量を充分に取れたのか、実にバランスの良い音を聴かせる。音圧も従来比で2倍以上出せるとのことで、実際、これで映像作品や音楽映像を観ても、まったく違和感なく愉しめる。

 このスピーカは、画面回転方向に合わせて左右チャンネル、ウーファとトゥイータの位置関係が自動的に切り替わるため、どちらに向けても自然なステレオイメージとなる。店頭でも体験できると思うので、試してみることを奨める。きっと驚くはずだ。

 もっとも、このようにハードウェアスペックだけを見渡すと「より高速で大画面なiPad」以上のものではない、という感想しか出てこない。iPad ProではなくiPad Air XLといった言い方がピッタリと思った人もいるだろうが、視点をハードウェアに絞るならそれも間違いではない。

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