アップルイベント9.12

「iPhone 5」登場--これまでの“噂”を検証しながら、新製品をチェックする

 米国西海岸時間9月12日から開催されたAppleのプレスイベントで、iPhone 5、iPod touch、iPod nanoが発表された。iPhone 5は米国では9月14日予約開始、9月21日発売。価格はiPhone 4Sと同様に、2年契約を前提に、16Gバイトで199ドル、32Gバイトで299ドル、64Gバイトで399ドルとなっている。Apple一気読みでまとめたiPhone 5の噂について、「○」「△」「×」で検証しながら、その詳細を掘り下げていきたい。

米国での価格
米国での価格

○ LTE対応:今回のiPhone 5の目玉でもある、LTE対応を果たした。iPhoneにはGSMモデルに「A1428」と「A1429」、CDMAモデルに「A1429」の計3種類が用意されている。

 まずGSMモデルA1428は、米国向けのモデル。LTEのバンドは4と17に対応しており、これは米国の通信事業者AT&Tモビリティ、T-mobile、MetroPCSに対応している。

 CDMAモデルA1429は米国のVerizonや日本のKDDI向けのデバイスとなっており、LTEのサポートはバンド1、3、5、13、25。日本では、KDDIのバンド1、2100MHz帯域でのサポートとなり、KDDIが提供する予定のLTEサービスへの対応に該当するだろう。

 またGSMモデルA1429は米国以外のGSM系通信事業者向けのモデルとみられる。日本ではバンド1がNTTドコモとソフトバンク、バンド3が1800MHz帯域でイー・アクセス(イー・モバイル)に対応する。ドコモとイー・モバイルからはiPhone 5のアナウンスがされていないが、SIMロックフリーのモデルで使える可能性があり、今後検証されることになるだろう。


カラーはブラック&ストレートとホワイト&シルバーの2種類。

× プロセッサ:A5系ではなく、A6にジャンプアップ。

 RetinaディスプレイとLTE、そしてバッテリライフの両立のため、A6チップに刷新された。A5チップよりも2倍のパフォーマンスと、22%の小型化を実現しているが、デュアルコアなのか、クアッドコアなのかという明言は特になされていない。

○ ディスプレイ:一番の進化のポイント。4インチ、1136×640ピクセルの縦長に。

 後にご紹介するiPod touch第5世代とともに、iOSのポケットサイズのデバイスは4インチ縦長のRetinaディスプレイに対応した。アプリは上下に黒い帯を残してこれまで通り表示されるが、できれば、手元に近い下に寄せて表示してくれた方が親切だったんじゃないかと思う。なお、これまでのディスプレイに比べて、色再現が向上しているとしている。

本体のボタンとコネクタ
本体のボタンとコネクタ

○ ドックコネクタ:小型化された新しいLightningコネクタとなった。

 小型化されたLightningコネクタは、オーディオやデータなど、8つの信号を送ることができるデジタル転送を実現している。ちなみに、Macに採用されているThunderboltも、ディスプレイやEthernet、FireWire 800、USBなどを1本のケーブルで送ることができるが、これのiOS向けのソリューションとなりそう。ちなみに、ThunderboltとLightningは、第二次世界大戦で活躍した米軍の戦闘機の愛称。

 iPhone 5では、Dockに比べて80%小型化されたため、スピーカーとマイクの開口部の大型化と、イヤフォンジャックの底面への移動を実現している。

 また、素晴らしい機能向上として、上下、どちら向きでも差し込むことができるようになった。夜寝る前に、暗いところで充電ケーブルを挿すときにも、一発ですっきりと差し込める。

カメラの性能もアップ
カメラの性能もアップ

△ カメラ:センサは裏面照射800万画素、レンズはf2.4と据え置き。しかしノイズキャンセルなどが向上し、暗所の撮影性能が向上したほか、ソニーのCybershotケータイなどでおなじみだった加速度センサを活用したパノラマ撮影を実現した。

○ nano-SIM:新しい、マイクロSIMより小さなナノSIMカードが採用された。Appleのウェブサイトでは、マイクロSIMとの互換性はないと記されている。

△ バッテリ:ディスプレイの拡大、LightningやA6チップの小型化などで、バッテリのスペースは拡大している。カタログスペックとしては、3G通話、ブラウズ、LTEブラウズは8時間、Wi-Fiブラウズとビデオ再生は10時間、音楽再生は40時間、スタンバイは225時間という数字。通話の8時間はiPhone 4Sと同等ながら、3GとLTEのブラウズは2時間向上、Wi-Fiブラウズは1時間向上、待ち受け時間は25時間向上している。これは、実際の使用感でチェックしていきたい。

○ サイズ:iPhone 5とiPhone 4Sのサイズの比較としては、高さが8.6mm長くなり、幅は据え置きの58.6mm。そして厚さは1.7mm薄くなって7.6mm。Appleは世界で最も薄いスマートフォンとうたっている。また重量は28g軽くなった112gとなり、ディスプレイの大型化と端末の薄型化、軽量化がなされている。

○ スタイル:こちらは、リークされていた画像がそのままの製品として出てきた格好だ。Appleは「スイス時計」のような精密さとアピールしている。前面はガラス、背面はAppleのノートブックパソコンと同じ酸化皮膜アルミニウムが利用されている。ホワイト&シルバーモデルではセラミックガラス、ブラック&スレートモデルでは着色ガラスの「インレイ」と呼ばれるパーツが上下に組み込まれ、金属とガラスの2つの素材になった。

× NFC:iPhone 5ではNFCの採用は見送られた。次の端末で入るのか、あるいはもうNFCを相手にしないのかはとても不透明になっている。Passbookがバーコードだけで実現できるようにした店で、店舗などの設備投資を最小限に防げるという点で、現実的な選択だった、というところだろうか。

× iPad mini:かすりもしなかった。その代わり、iPod nanoとiPod touchが刷新された。特に後者は、iPhone 5と同じ縦に伸びたRetinaディスプレイとA5チップを採用し、500万画素のカメラを搭載する形となった。iPhone、iPod touch向けの縦長画面に対応するアプリ開発を一挙に進める契機としてとらえることができる。

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