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あえて言おう。アップルのBoot Campはギミックだ。
世の中には、はじめからMacintoshをPCの世界に嫁がせることを何よりも歓迎していたはずの人々がいた。
1985年に、Dayna Communicationsという会社が「MacCharlie」という製品を発売した。Macにこれを追加すると、PC用とMac用のソフトウェアが両方とも動かせるというものだった。当時の宣伝は、これでユーザーはPCとMacの最もおいしいところを楽しめるようになったと吹聴していた。しかし、この製品は高価なギミックで、これを使うとシステムの動作速度がきわめて遅くなってしまった。さらに悪いことに、この製品の値段は1000ドル以上もした。
サードパーティーのベンダー各社は次にソフトウェアエミュレータを登場させた。これらの製品は性能の点では大幅に進歩したものだった、それでも相変わらずガーゼをあてた口でチョコレートムースを食べるようなところがあり、決して美味しいものではなかった。その後Apple Computerは、John Sculley氏のもとでMac OSをIntel 486システムに移植するプロジェクトを立ち上げた。しかし、1993年にMichael Spindler氏が最高経営責任者(CEO)に就任すると、このプロジェクトは中断されてしまった。
その後、Appleは2002年に例の「Switch」キャンペーンを開始し、PCからMacに乗り換えた人々のコメントを引用した広告を展開した。だが、同社がハードメーカーからデジタルエンターテイメント企業への転換を進めるなかで、MacとWindowsの問題は一時的に話題にされなくなってしまった。昨年の米国PC市場におけるシェアが2.3%という状況では、Switchキャンペーンにはまだ相当な努力が必要だと思われる。自称エリート集団の一部になるのも結構だが、しかしSteve Jobs氏がこのような数字で満足できるはずはない。
Windowsでしか動かない特定のアプリケーションを手放せないために、Macの購入に踏み切れずにいる人が大勢いることに疑問の余地はない。そこでAppleは先週、Intelプロセッサを搭載したMacでWindowsを動かせるようにするユーティリティソフト「Boot Camp」を公開して、この問題を自ら引き受けることにした。無償でダウンロードできるBoot Campは、今のところ問題も出ていないが、その公開でメディアは大騒ぎになった。表面的にみれば、これは必勝間違いなしのアイデアだ。
アップルはWindowsを支持してはいない。自社が販売するマシン上でWindowsが動作することを支持しているだけだ。同社の動きを追う証券アナリストらは、Boot Campの公開を聞いて、大半が即座に同社の予想株価を引き上げた。熱狂的な取引が行われるなかで、Appleの株価は10%ほど上昇した。Apple信者によるオンライン掲示板への書き込みを読む限り、Boot Campは天才的なアイデア以外の何ものでもない。
しかし、あえて言おう。Boot Campはギミックだ。賢明なギミックだが、それでもギミックであることに変わりはない。
Boot Campは、自分のお気に入りのWindowsアプリケーションがないと夜も眠れないというPCユーザーにとって保険の役目を果たすものだ。Macへの乗り換えを考える潜在ユーザーに決断を踏みとどまらせる障害が長く残っていたが、Appleはダウンロードソフトウェアを1つ用意するだけでこの障害を排除してしまった。
これらの人々はまだWindowsを使っているが、そのような状況はあとどのくらい続くだろうか。Gates氏、Ballmer氏、そしてAllchin氏には敬意を表するが、Windowsには(ワシントン州レッドモンド周辺住民を除き)胸がときめかない。人々が求めているのはWindowsではない。彼らが求めているのはWindows用のアプリケーションだ。一度MacにさわったWindowsユーザーは、世間がMac OSでについてあれほど騒いでいたことを全く疑問に思わなくなるだろうか。
Appleはそうなることを願っている。露骨に口にすることはないだろうが、同社はMacでWindowsを使ってもらうことには一切関心がない(AppleがMacでWindowsをサポートしないのは偶然ではない)。彼らは、興味のある人にMac OSを一目見てもらい、その魅力で彼らをとりこにしたいと考えているのだ。
第一次世界大戦から米兵が帰還したとき、一度パリを見てしまったら故郷の農村には戻れないのではないか、という疑問があった。WindowsユーザーがMacを一目見たら、何人がCtrl-Alt-Deleteの世界に戻りたいと考えるだろうか。
著者紹介
Charles Cooper
CNET News.com解説記事担当編集責任者
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